[脳細胞を働かせてちょう題 12]偽コインを探す力
【問題】
12枚のコインがあります。
そのうちの1枚だけは重さが違います。
天秤ばかりを3回だけ使うことによって、そのコインを探し当て、他のコインより重いか軽いかをも判別してください。
「偽コイン」の問題として有名ですが、私も最初に出会ったのは、小学生の教え子に頭の体操程度にでもと思いついたときのこと。
軽く考えていた割に、自分自身が相当考えなければなりませんでした。🤔
それでも、比較的短時間で、考え切るところまでは出来ましたから、よかった!よかった!
ただ、小学生でも考える力を身に着けつつある子は解いちゃいますから、君もウカウカしてられませんよ!
私も、それっきりで、まだ本質をつかむところまでには達していませんでしたので、この記事を機に本質に近づいていきます。
(本質までは小学生には難しいとは思いますが…)
でも、君は、まずは頭の体操的な感覚で、自力で考え切ろうとトライすることが大切です。
そして、君が小学生であっても、おそらく、かつての私と同じようにその方法を見つけてくれることと思います。
それでいいのです。
考えるという作業を行うということ自体が、君を「考えることのできる人」に自然に育ててくれるのですから。
たとえ、それが、まだまだ本質には及ばなくても、別に数学者になるわけでもないのですから…。
私なんかも、数学を専門に勉強したわけではなく、工学部として必要な数学しか知りませんし、それも大したことないと思っていますから、数学者などから見れば幼稚園児のようなものですけれど、それはそれで仕方のないことじゃないですか。
ただ、学校や塾で習うようなことではないからと思い込んじゃうと、反って損をすると思いますよ。
実際、この問題を解決する力は、実際の算数入試問題を解くにあたっても、欠かすことのできない思考力・整理力とつながっていますよ。
ですから、難関中学入試を目指す子の中で、暗記ではなく本当に考える力のある子は、解き切っちゃうと思います。
私の教えた子は塾に通っていなくて何の知識もなかった(答案をみれば一目瞭然に分かります)ですけれど、たいていの問題はその場で考えて答えにたどり着いていました。
まさに、野生児だったのですが、そのあたりで、同じ進学校に合格しても、学年が上がるごとに伸びる子と伸びない子がくっきり分かれてくるのでしょうね。
さて、考え切ったら、解決しようとしまいと、ググって調べてみて下さい。
有名な問題故、たくさんの名答・珍答に出会えます。
楽しむ意味、人の考えるプロセスを参考にする意味でもおすすめです。
さて、偽物を特定できた君は実に素晴らしい!
もし、興味があれば、勉強の合間に、場合分けせずとも判別できる方法を考えてみては如何ですか?
ネットでは、そこまで極めている方はほとんど居られないように見受けられますし…。
ちなみに、この問題はコインが14枚以上になると、「判別不能」というのが解答になります。
計量結果によって次の乗せ方を考えることなく普遍的に判定する
この問題を最初に出会ったとき、なかなか苦戦させていただきましたが、何とかネットで正しく答えておられる方の考え方と同じところまで辿り着くことができました。
実は、あらかじめ天秤に乗せるメンバーを決めておけば、いかなる場合でも3回の天秤ばかり計量で偽コインが判定できます。
この決め方は、当然ながら、ネットで正しく解説されている方や私自身の辿った思考プロセスを一般化し普遍化した形になります。
まずは、乗せるコインを間違えないように、あるいは考えやすくするためにも、12枚のコインに番号を付けておいてやった方が便利ですね。
そして、下の図の〇に入ったコインの番号通りに乗せて(下の図の〇は空白にしてあります)、計量結果から判断すれば偽コインが判定できるというわけです。
場合分けしながら判定方法を見つけられた方なら、下の図の〇に入る番号を決めるところからできるのではないでしょうか。
(そうでない方にも、〇の色が違っているところがヒントになりそうです。)
おっと、「何故4個ずつになってるか?」ですって。
それは、まず6個ずつ乗せた場合にどんな顛末になるかってところから考えてみて下さい。
偽コインが本物より重いのか軽いのかが分からないんですよ!
3回の天秤ばかり計量のレギュラー・メンバー
12枚のコインに番号をふり、下記のように4つのグループに分けておきます。
- 第1グループ:①②③(黒)
- 第2グループ:④⑤⑥(青)
- 第3グループ:⑦⑧⑨(紫)
- 第4グループ:⑩⑪⑫(赤)
そして、天秤に乗せるメンバーをあらかじめ下図のように振り分けて決めておきます。
この図は、答えそのものになりますので、実際の計量結果を12通りに分けて検証していくと、いかなる場合でも、偽コインを特定できることに驚かれることでしょう!
如何でしょうか?
天秤に乗せるメンバーをあらかじめ決めておくことで、どんな場合でも偽コインが判定できてしまいます!
ところが、12通りの検証例をなぞり終えた生徒が次のように言いました。
「先生、おかしいよ!”どんな場合でも”って嘘だよ!だって、各回で、天秤の状態は、吊り合ってるか、左が重いか、右が重いかの3通りあるんだから、どんな場合もと言うなら3×3×3=27通りの計量結果があるはずだよ!」
「おぉ!君は素晴らしい!まったくその通りだよ!」
気が付かれたかもしれませんが、上の12例の計量結果は、偽コインが本物より重い場合だけしかありませんね。
実は、上の12例と天秤の軽重を逆にした計量結果を採ると、偽コインが本物より軽い場合の12例ができます。
「それなら、合計24例になるけど、まだ3例足りないんじゃない?」
「おぉ!重ね重ね君は素晴らしい!まったくその通りだよ!」
先ず、3回とも吊り合ってしまう場合は、あらかじめ偽コインが分かっていて、それを決して天秤に乗せないという場合か、偶然そうなった場合でしかあり得ないことですね。
同様に、3回とも左側が重い、3回とも右側が重い場合は想定されるでしょうか?
・・・
君たちの誰かが、この問題の本質を日本語で明晰に説明してくれることを期待してやみません。
さて、下の図のように1回目、2回目、3回目に乗せるコインを決めておけば、どんな場合にだって偽コインが判別できるという答えそのものになります。
例えば12個の内に必ず1個偽物がある製品が流れている生産ラインがあるとすれば、12個ずつ切り出して、まず番号を1~12まで順にマーキングする機械を通した後に、下の図のルールにしたがって天秤ばかりに乗せて3回計量したあと、偽物だけを排除する自動機械(ロボットと言った方がいいかな?)ができちゃうということになりますよ。
では、いかなる場合でも3回の天秤ばかりで偽コインが判定できることを確認していきましょう!
計量結果1H
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
それだけしか分かりません。
吊り合ったので、左右のメンバーの中には偽コインがないことが判明しました。(④~⑪のコインは本物)
このことから、1回目の右側はすべて本物、左側の⑩が本物になりますから、偽コインは①②③のどれかであり、従って、まだ未登場の⑫も本物であり、且つ偽コインは本物より重いということまで判明します。
左側で真偽不明は①のみ、右側で真偽不明は②のみ。(初登場の⑫は2回目で本物と判明)
左側が重いということで、①が偽コインであることが判明します。
計量結果2H
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
それだけしか分かりません。
吊り合ったので、左右のメンバーの中には偽コインがないことが判明しました。(④~⑪のコインは本物)
このことから、1回目の右側はすべて本物、左側の⑩が本物になりますから、偽コインは①②③のどれかであり、従って、まだ未登場の⑫も本物であり、且つ偽コインは本物より重いということまで判明します。
左側で真偽不明は①のみ、右側で真偽不明は②のみ。(初登場の⑫は2回目で本物と判明)
右側が重いということで、②が偽コインであることが判明します。
計量結果3H
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
それだけしか分かりません。
吊り合ったので、左右のメンバーの中には偽コインがないことが判明しました。(④~⑪のコインは本物)
このことから、1回目の右側はすべて本物、左側の⑩が本物になりますから、偽コインは①②③のどれかであり、従って、まだ未登場の⑫も本物であり、且つ偽コインは本物より重いということまで判明します。
左側で真偽不明は①のみ、右側で真偽不明は②のみ。(初登場の⑫は2回目で本物と判明)
左右が吊り合ったことで、①も②も本物であることが判明。
ということは、2回目で①②③のどれかが偽コインであることが判明していることから、残った③が偽コインであることが判明します。
計量結果4H
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
それだけしか分かりません。
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
1回目と軽重が反転していますので、左側のメンバー⑩と右側のメンバー⑪が偽コインであることはあり得ず、本物であると判明します。
よって、1回目と併せて考えると、④⑤⑥のどれかが偽コインであること、従って、①~③、⑦~⑪のコインと未登場の⑫は本物であり、且つ偽コインは本物より重いということまで判明します。
左側で真偽不明は④のみ、右側で真偽不明は⑤のみ。(初登場の⑫は2回目で本物と判明)
左側が重いということは、④が偽コインであることが判明します。
計量結果5H
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
それだけしか分かりません。
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
1回目と軽重が反転していますので、左側のメンバー⑩と右側のメンバー⑪が偽コインであることはあり得ず、本物であると判明します。
よって、1回目と併せて考えると、④⑤⑥のどれかが偽コインであること、従って、①~③、⑦~⑪のコインと未登場の⑫は本物であり、且つ偽コインは本物より重いということまで判明します。
左側で真偽不明は④のみ、右側で真偽不明は⑤のみ。(初登場の⑫は2回目で本物と判明)
右側が重いということは、⑤が偽コインであることが判明します。
計量結果6H
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
それだけしか分かりません。
右側、左側のいずれかに偽コインがあることが分かります。
1回目と軽重が反転していますので、左側のメンバー⑩と右側のメンバー⑪が偽コインであることはあり得ず、本物であると判明します。
よって、1回目と併せて考えると、④⑤⑥のどれかが偽コインであること、従って、①~③、⑦~⑪のコインと未登場の⑫は本物であり、且つ偽コインは本物より重いということまで判明します。
左側で真偽不明は④のみ、右側で真偽不明は⑤のみ。(初登場の⑫は2回目で本物と判明)
左右が吊り合ったことで、④も⑤も本物であることが判明。
2回目で④⑤⑥のどれかが偽コインであることが判明していることから、残った⑥が偽コインであることが判明します。
答えは最初に出ちゃってますので、引き続いての検証は自分でしてみてください。
それをしないと「フーン!」だけで終わってしまいます。