『脳科学』という名前のもとにいい加減な言説や商品が溢れかえり、またそれをありがたく享受する風潮があまりにも酷くなったように思われたため、右脳・左脳論、特にむやみに右脳を謳うものや脳トレの類には何の根拠もないことを繰り返し発信して来ました。

最近では、男性脳・女性脳の性差ですらほとんどないか、あったとしても非常に小さいものであるという研究結果さえ発表されています。

【帝都大学へのビジョン】本編においても、胡散臭い記憶術も含めて騙されないようにしましょうということを書いてはいるのですが、Webサイトにおいても固定的に設置しておくことで、より多くの方の目に触れるようにしておこうと考えました。

とは言っても、素人が偉そうに説教を垂れるよりも真摯な研究者の話を聞いていただくのが一番であろうと思い、先ずは、大阪大学大学院生命機能研究科/藤田一郎博士の『脳の迷信』と題した講演会をお聞きいただければ幸いです。

1時間以上ありますので、時間の空いたときに視聴くださいませ。

下記は、上記の前年の別の講演会の動画ですが6分割されています。
youtubeで見られると右サイドにvol.2、vol.3などの選択肢が出ますので、続きはそちらからご覧ください。
内容の骨子は変わりません。

藤田博士の講演における『脳トレ理論』を要約すると、

  1. 単純な計算や読み書きによって脳が「活性化する」という脳トレ理論の「活性化する」とは、脳のある部位の血流量が一時的に増加したということに過ぎないわけで、恒常的に脳の機能が向上したわけでもなく頭がよくなったわけでもない。
  2. 認知症患者に対する学習療法としての脳トレの結果データも、脳トレをしたことに因果づけられるようなテスト設定はなされておらず、計算や読み書きのトレーニングの結果なのか、あるいはその際に行なうテスト者や周囲の人間とのコミュニケーションの効果なのかは特定できない。

ということなんですね。

理屈に沿った説明は是非動画の中でご覧いただければと思います。
講演を聞かれれば、何故こんな当たり前のことに目を向けなかったのかと内省されることでしょう。

また、池谷裕二博士の方も脳トレに関しては、「聞かれて一番困る問題だけれど、しないよりした方がマシ程度のこと」という見解を持たれています。

ここまでいい加減な脳の迷信が蔓延して来た背景には、確かに、研究者の方もこういったいい加減な風潮に苦々しい思いがありながらも、同職の研究者にすらそういう輩がいることや、アホなことを検証するにも時間がかかること、商売にケチをつけるのも面倒なことなどの理由で、苦言を呈し警鐘を鳴らす腰を上げるまでには至らなかったという事情もあります。

そもそも、脳トレや英才教育を謳う商品やサービスは何ともいえない胡散臭さが漂っているものですが、それが巷に溢れかえってしまうと、嘘も百回言えば真実になるという営業戦術の効果が効果を超えて認知された現象にまで昇華されるしまうことで、正しい固定概念として完成し、定着してしまいがちになってしまうようです。

何の専門知識すら持たないのに、自分の利益の為か無責任に拡散していくタレントや似非文化人へのアンテナは多くの人が張っていますから、その影響力は驚くほど大きく、藤田先生のような地味で真摯な研究者は着々と成果を出しながらも、アンテナを張る人が少ないために、真実に近いことは小さな声でしか届かないという困った現象が定着しています。

脳科学の迷信を叫ぶ声も、どれだけの人に届いているでしょうか?

日本は、メディアのあり方の画一性や右へ倣え教育の成果に大いに依っているのでしょうが、情報鵜呑み度は世界でもトップクラスですから、こういう現象が顕著になってしまうのかもしれませんね。

プラスして、脳トレには騙されても実害が無いですから、塾への出費と同じ感覚で許容できちゃうってことも要素としてあるのかもしれません。

ただ、脳トレではありませんが、一応世間で注目された『記憶術』を読む機会を持った私にも、何とも言えない虚脱感・空虚感を残したこういう類の啓発本を「実害が無い」と言っていいものかどうかは苦慮するところではあります。

迷信かどうかを検証するためには、真面目な研究者も、対象となる書籍や論文を読まねばならないわけです。
結果、大切な時間をどれほど無駄にするのかと思うと気の毒で仕方ありません。

私が運営している当サイトのような教育ジャンルや化粧品・美容ジャンルでは、科学的な装いをまとって平気でウソが横行している最先鋒の世界です。

呆れ返るような謳い文句が乱れ飛んでいるのはもちろん、それをディプロマミル(偽学位)で権威付けするものまでありますから、むしろ、こういう場所で記事にしておく方が、目につく機会は多くなるのではないかという思いもあります。


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教材では、英数と算数の興味の引き金となり、且つ本質に目を向かせてしまうコアな問題を精選し、不器用レベルの脳細胞の働かせ方目線で解説。

京都大学工学部OB2名と大阪大学大学院工学科OBの3名、しかも全員物理系ハードエンジニア出身(教師転身2名)で執筆していますから、商売人や学生上がりのような根拠のない、無責任な甘言などは思いつきもしません。

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