2018年3月13日追記

財務省による森友文書の改竄が明らかになりメディアは大騒ぎの中、ワイドショーに流れる名誉校長だった昭恵夫人が塚本幼稚園児を賛辞する懐かしき映像。

「しっかりとした子どもたちに感動した」と仰る昭恵夫人が真っ当と思う方は極めて少ないでしょうし、ルソー『エミール』の言葉がこれほど似合う珍映像はないでしょう。


ジャン=ジャック・ルソー

子どもの語彙はできるだけ少なくするがいい。

観念よりも多くのことばを知っているというのは、考えられることよりも多くのことがしゃべれるというのは、ひじょうに大きな不都合である。

都会の人にくらべて一般に農民がいっそう正しい精神の持ち主である理由の一つは、かれらの語彙がかぎられていることにあると思う。

かれらはそれほど多くの観念をもってはいないが、それらの観念をひじょうによく比較することができる。

ルソー『エミール』

昔から、この界隈ではある意味で有名だった森友学園が経営する塚本幼稚園の園児が、運動会で「大人は尖閣諸島や竹島を守り、日本を悪者として扱う中国、韓国は心を改めて」「安保法制国会通過良かったです」「安倍首相頑張れ」と手を上げて宣誓する映像を見た方も多かったのではないでしょうか?

大人顔負けの『多弁能なし』を大量排出しそうな時代

エミール by ルソー

自民党の小泉進次郎氏ですら「異様」と感想を述べたこの光景を見て、普通の一般人で異様だと思わない人はほんの一握りでしょう。

しかし、今まで公におかしいと問題にされることすらなかったのもおかしな話です。

外山滋比古先生でもありませんが、αの言葉を離れβの言葉を習得していく過程においては、自分の行動で経験し、裏打ちしながら、その言葉の観念を伴って習得していかなければなりません。

さもなくば、自分の頭で考えることが出来ないまま成長してしまいます。

結果、ルソーの言う『考えられることよりも多くのことがしゃべれる』大人、所謂『多弁能なし』に繋がってきます。

即ち、学ぶにもTPOが必要であり、発酵食品のように、それなりの時間を掛けることが必要であることは明白ではないでしょうか?

『熟成』という言葉が好まれる割には、人間に関しては『早熟』を要求してしまうのはどうしてなのでしょうか?

そもそも、これらの言葉は幼稚園の時に習得しなければいけない言葉でしょうか?
それも一方的に叩き込まれるという様式をもって…。

政治的な言葉は非常に曖昧さと虚飾の伴う言葉であり、大人の各人が自分に都合よく定義しているような言葉だからこそ、自分の頭で考え判断できる力を養うプロセスの中で多面的に命題や仮説として提示してやらねばならない言葉の代表格です。

確かに、人間には向上することは必要なことですから、「子どもさんの語彙力アップを!」などと叫ばれると「そうなんだ」と焦る気持ちは分からないでもないですが、言葉の性質も学ぶ時期も何も考えずに何でもかんでも「アップ」というのは非常に危険なことではないでしょうか?

何故なら、経済は成長しなければならないという強迫観念の中、誰ものお金儲けがしたいという欲望と相まって、その結果、「0歳児から語彙力アップ!」「0歳から早期英語教育を!」をなどという「高速」を商売の為に美化するだけのたわけたスローガンが飛び交うことになってしまうからです。

私の周囲でも早期教育に躍起になられていた家庭も何件かありましたが、親の希望通りのコースを辿った少年は誰一人見たことがありません。

また、【高速記憶術】など、普通の人には何の利用価値もありません。

何でも圧力鍋で調理していると反って栄養をロスしていることにすらなります。

もちろん、玄米などを炊くときにはメリットがあるというデータも出ていますが、他の食材では栄養素をかなり損失してしまっているデータも同時に出ています。

私の知り合いの一流シェフは、基本的には圧力鍋を使いません。
ましてや、たかが家庭での料理で圧力鍋を使う意味が分からないそうです。

まぁ、ある意味、塚本幼稚園の園児にしても早期英才教育などを謳った幼稚園にしても、子どもの持つ大切な栄養素を壊しているようなものに思えてなりません。

それに加え、近年では、ITがサクサクと表面だけをなぞれば知った気になってしまうことに拍車を掛けてくれますから、精神を熟成させていくという人生の大仕事にとっては大いなる受難の時代になっています。

教育にも子育てにも正解はないと思いますが、そういった意味で、私としては、こういった類の教育機関は不正解なる教育の極みだと思ずにはいられません。

正解なる教育などは無いと考えますが、不正解なる教育は確実にあるのではないでしょうか?

誰かさんは「素晴らしい教育だ」などと賞賛して名誉校長になっていましたが、これを見たら、ルソーや幼児教育の礎を築いたペスタロッチ・フレーベル・モンテッソーリ等の面々はどんな顔をするのでしょうね?

モンテッソーリ教育の思い出

2018年3月3日追記

今、モンテッソーリ教育が再び脚光を浴び始めているという話しを耳にするのですが、そうなるとモンテッソーリ教育もどきが増えてくることも必定であることに一抹の不安を感じたりしています。

実は、私たちは二人の子どもを普通の公立幼稚園にはやらずに、モンテッソーリ教育を実践する民間のキッズクラブに2年間週3回で預けました。

もちろんモンテッソーリ教育を標榜する名門幼稚園もあり、実は合格しちゃってたのですが、名もない民間のキッズクラブの方が、園長のポリシーの下、それは見事なモンテッソーリ教育の実践をされていると夫婦とも判断したことでこちらに決めたのです。

そして私たちは、今しみじみ思っています。
子どもたちのこの時期にこの経験をさせたことが、「どう生きるのか」の姿勢を決定づけたことは確かであろうことを…。

そして面白いことに、子どもたち自身が大人になって、「キッズクラブに通ったことが自分にとって大きかったと思うわ!」などという気持ちを持っていることです。

但し、真のモンテッソーリを実践されているのであれば、「右へ倣え」とは最も疎遠な教育ですから、日本の社会では「けったいな人」に分類される大人に成長しちゃいますよ!(笑)

その代り、決して人と群れたり人を苛めたりする人間、人の真似をして満足している人間に成長する可能性は極めて少ないと思います。

バカはバカなりに自分の頭で考えるクセが付いているようで、学生時代にバイトをしていた時も、「一流大学の学生って、自分で考えろよと言いたくなるほどまるで役に立たない人ばっかりやん」という話しを何度となく聞く羽目になったものです。

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京都大学工学部OB2名と大阪大学大学院工学科OBの3名、しかも全員ハードエンジニア出身(教師転身2名)で執筆していますから、商売人や学生上がりのような根拠のない、いい加減な甘言は書いていません。

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