「世界有数の勉強しない率・世界屈指のエンタメ・芸能好き:その行く末は?」の記事にてご紹介した、勉強時間の統計データはその後どのように推移したのでしょうか?

前回のデータは2006年が最終でしたので、その後2011年頃よりの急速なスマホの普及によって、どのような推移を辿っているのか興味があったのですが、結果は意外にも2001年・2006年を下げ止まりとして上昇の兆しを示しているというものでした。

スマホの普及で勉強時間が上昇に転じた?

文科省:高校生の現状(2014年公表)

文科省:高校生の現状(2016年公表)

きっと、これをご覧になったあなたも意外感がされたのではないでしょうか?

何はともあれ一安心と思いたいところですが、そうも言っておれないデータも同じくベネッセの調査で出ています。

中高生の勉強時間減少とスマホの関連性は?

図2は、「スマートフォンを使い始めて勉強時間は変わったかどうか」を、聞いたものです。

勉強時間が減ったと答えたのは中3と高1で4割近くになりました。
しかし、高2で28.9%、高3では15.4%と減ってきています。

これは、高3になると受験勉強で忙しくなることに加え、スマホの利用が生活に定着して、勉強に時間を回せないほどスマホに時間を割いていないことの表れといえるかもしれません。

【図2 スマートフォンを使い始めて、お子さまの勉強時間は変わりましたか?(中学生、高校生)】

図2 スマートフォンを使い始めて、お子さまの勉強時間は変わりましたか?(中学生、高校生)

最後に、お子さまがスマートフォンを持ち始めてから、「勉強時間は変わらない」かつ「勉強に影響を及ぼしていない」と答えた中高生の保護者が、どのような考えを持ち、配慮をしているのか、声を拾ってみました。

  • 勉強している時は手に届くところに置かない。普段はリビングに置いておく(高2の保護者)
  • テスト2週間前にはリビングに置く(中3の保護者)
  • ゲームでもLINEでも、スマホはリビングで夜9時半まで。外で携帯電話を使う場合は、歩いているなら止まって、自転車なら降りてから(中2の保護者)
  • 情報のツールを使わないわけにはいかない時代なので、使い方を一緒に考えながら、使わせたいと思う(中3の保護者)

学校・部活の連絡ツールとして無料通話アプリが普及するなど、スマートフォンを避けられない状況も生まれてきているようです。
持たせるにせよ、持たせないにせよ、納得のいく理由をお子さまと話し合うことが必要でしょう。

そして、持たせるのであれば、ルールを決めて、スマートフォンに勉強時間など大切な時間が奪われてしまわないように、お子さまの自覚を促していくことが必要なようです。

今回のアンケートの声を参考に、もう一度、お子さまと利用のありかたについて話し合われてはいかがでしょうか。

出典:話題のLINE、保護者はこんなふうに感じている(ベネッセ)

これは、先のデータの分析では、宿題が増えたことによって勉強時間が回復しているとの見解が記されていましたが、保護者さんの実感としては、やはり勉強時間が減ったと感じられている保護者さんの割合が相当に多いということとは大いなる矛盾が生じています。

やはり、単なる統計の数値では計り知れない部分があると思うのですが、ただ、お子さんのスマホ使用に関して、しっかりと管理されているご家庭が半数以上あるのではないかとみられるところに、手堅い下支えの力が働いているであろうことは予測できます。

ある意味、日本の行く末をそれほどまでに悲観する必要はない下限の材料を提供してくれていることで安寧するばかりです。

ただ、宿題の量が増えたというだけではスマホの誘惑に打ち勝って勉強時間が増加したという合理的な説明にはなっていないような気がしますが如何でしょうか?

私は、もしこのデータの傾向が本当であるならば、そろそろネットやスマホの負の部分に気付いた人が増えてくる時期が来ても不思議ではないということと無関係ではないであろうと考えています。

子どもの方が本当の充実感を求めているのかもしれない

私の義理の姪が、言葉が喋れるようになる頃からスマホに親しんでいましたので、先々どうなるんだろうかと心配しておりましたが、小学生3年生ぐらいから、以前ほど興味がなくなったようで、本を読んでる方がずっと楽しいというように変わって来ているようです。

実は、これには、父親が「こんなことをしていてはいけない!」と、時間のある時に本の読み聞かせを始めたという裏話があります。

もちろん、そのことだけがスマホ離れの要因だと言い切れないのは、以前にも記しましたように、読み聞かせをすれば学力が上がるとは言えないことと同様です。

しかし、子どもの心を楽しいことや有意味なことと繋げることが出来そうな可能性を沢山与えてあげることで、子どもは自分で楽しいことを見つけられるようになることだけは確かではないでしょうか?

その姪は、習い事であるバレエも楽しくて仕方がないようですから、本当に楽しいと思えることと出会ったことで、バーチャルな面白さは所詮、刹那的であることを体で感じて、そういった面白さには徐々に興味を削がれていったのではないかと思います。

東大の橋元良明社会情報研究所教授がネット依存に関して調査された際の質問項目に、次のようなものがありました。

ネット時間が減った人に対して、「ネットを利用する時間が減った原因は何でしたか?」と選択肢から選んでもらったところ、

  • 現実生活(勉強、部活、塾、仕事、アルバイトなど)が忙しくなった・・・40.9%
  • 家族に注意された・・・18.1%
  • 自分でやりすぎだと思った・・・12.6%
  • 他の趣味ができた・・・12.1%
  • 現実での生活環境が変化した(入進学、転校、就職、異動など)他の趣味ができた・・・12.1%
  • ネットに飽きた・・・10.7%

といった結果だったそうです。

ここから見えることは、

  • 「人間、暇だとロクなことを考えないしロクなことをしない」ということ
  • 何やかやと言っても「家族は堕落に対する防衛線になれるありがたい存在である」ということ
  • 自分が夢中になれるもの、一生懸命になれるものがあれば無為に時間を過ごそうとはしないということ
  • 本当は誰もスマホでは充足できない虚しさを感じている部分があるということ

以上から、親が子どものスマホに対して取る行動は自ずと見えてくるのではないでしょうか?

本当の充実感を味わうことを知れば、自然にスマホは補助ツールとしてしか認識しなくなるものです。

そして、学習面だけに限って有効に使ってみるとしても、それでもスマホやモバイル・PCは単なる補助ツールであって、学習の本道には使えないことを、子どもたちは自分で理解していくことでしょう。

下記の記事とも併せてご一読いただければ、さらに参考にしていただけるかと考えます。

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京都大学工学部OB2名と大阪大学大学院工学科OBの3名、しかも全員ハードエンジニア出身(教師転身2名)で執筆していますから、商売人や学生上がりのような根拠のない、いい加減な甘言は書いていません。

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