今日届いた「勉強法」を謳うスパムメールより

多くの方は、以下に記事にしたことなど百も承知の上でネットを利用されていると思うのですが、スマホからのアクセスが多い今日この頃、スマホしか使わない方のためにアップしてみました。

ケース1:超記憶術 一瞬で勉強に取り掛かれるCDですって

  • 差出人:受験生保護者の為の勉強法マニュアル<*****@rakutenservice.com>
  • タイトル:これだけ勉強しているのに、なぜ成績が上がらないのか?

貴方は、子供に問題集や参考書を買う前に「勉強のやり方の本を一冊でもいいから読んでみろ」と言ったことがありますか?

勉強は効率です
ただ長時間やればいいというものではありません
いかに無駄なく効果的に勉強をするかどうかです

「何を」「いつ」「どうやるか」が重要なのです

勉強法と思考法の改善で、本当に成績は上がります
効率的な方法で、やる気満々で勉強するために必要な知識を知ってください

リンク先URL

正しい勉強方法を知っていますか?
知っていれば、すでに成績は上がっているはずです

  • 勉強のやり方がわからない
  • 頭が良くないから勉強してもムダだと考えている人
  • 少ない勉強時間で試験に合格したい
  • 効率よくラクをしてライバルに差をつけたい
  • リンク先URL

商売人に悪用される脳科学・心理学・AIにご注意!

書いてあることはそれらしく見えます。
が、リンク先のドメインを見ると、”mainichiasahi.com”

朝日新聞と毎日新聞を連想させて心理的に信用させようという魂胆が丸見えです。

興味津々でクリックしてみると、あらビックリ!

【超記憶術 一瞬で勉強に取り掛かれるCD】ですって!
「超記憶脳になりライバルに圧倒的な差をつける最新音源」ですって!
やっぱりなぁ!

「勉強法」を謳うサイトの笑っちゃうような流れの作文の恐ろしさ!

リンク先はページが余りにも長い上に、最初からアホらしくて読むこと自体が苦痛ですが、ざっと、こんな説明。

まぁ、スピリチュアルやポジティブ・シンキングやら成功法則やら引き寄せの法則やら「俗物行動心理学大好き!」な世界でよく見かける流れです。

その通り、俗物大衆心理学の宝庫ともいうべき方の著作の引用が付いていました。

誰とは言いませんが…。

スパムメールの送り主は単なるアフィリエイターであり、”mainichiasahi.com”のオーナーが販売主であることは百も承知なのですが、「どこが勉強法なのよ?」という流れです。

  1. なかなか行動できないと嘆き悲しむ人へ

    重要なのは、人間が行動を起こすためのメカニズムを知ることです。

    実は、人間は「思考」では動かない動物なのです。
    では何で動くかというと「感情」です。
    実際は、「感情」が何かに反応したときに動くものだからです。

    自分を動かすには、「感情」を揺さぶる必要があるのです。


    あの~、如何にも科学的と思われる一連の流れですけれど、「感情」と「情動」の違いを区別して書いておられるんでしょうか?

    少なくとも、勉強法のお話をされるのでしたら、感情回路を利用するにしても、一切触れられていない理性回路が、これを制御するものとして上位に存在しなければ成り立たない筈ですが…。

  2. ポール・マクリーンの脳の三層構造説

    そもそも思考(人間脳)は、物事を動かすだけの力は持っていないのです。
    だから思考を司る人間脳が弱いのは当たり前なのです。

    何かを始められない心理的障害の正体は、これなのです。
    感情が物事を動かすエネルギーを持っているのです。


    あの~、マクリーン博士の「三位一体脳」の仮説は、すでに多くの反証が発表されており、学術的にはほぼ否定されているんですけど…。

    それに、スピリチュアルやら脳科学・俗物大衆心理学を利用する胡散臭い世界でしか引用されていないんですけど…。

  3. その答えは「感情エネルギー」の点火にある

    私たちは自分の意思で自分が行動していると思い込んでいるだけであり、実際は、外的刺激に反応して動き回っているだけなのです。


    あの~、「感情エネルギー」って何ですか?
    どうやって測るんでしょうか?

    「実際は、外的刺激に反応して動き回っているだけ」って、読んでくれている人(あなたにとってはカモ)の意識から「理性」を気づかせないように、ひた隠しにしようってわけですね。

  4. やる気のスイッチは、脳にあった

    通常の人間は、通常脳細胞の3%しか使っていないと言われています。
    残り97%を鍛え続ける事で記憶力、集中力、暗記力を強化する事が出来るのです。

    感情をコントロールするということは、すなわち「行動」を決定することになるのです。

    大脳辺縁系で感情が生まれる
    ここを直接刺激しコントロールすることができれば、行動をも支配することが可能であるということです。


    あの~、こんな都市伝説を持ち出さなければ説明できないような後ろめたい代物なんでしょうか?

    パソコンで言えば、CPU使用率のことですか?メモリー使用率のことですか?ハードディスクから呼び出しているデータ使用率のことですか?

    あの~、「扁桃体」って知ってます?

    大脳辺縁系で発生したと仰る感情をコントロールできるのでれば、とっくに世界が騒然となっているでしょうに…。

  5. 超記憶脳CDの5つの効果

    レゾ・メモリー超記憶脳CDには、一般の音楽CDには、通常入っていない5つの特殊な機能が含まれています。

    レゾ・メモリー超記憶脳CDの、もっとも強力な機能でありながら、実際には、ほとんど耳に聞こえないという機能があります。

    その機能の名前は、バイノーラルビートと言います。


    あの~、「バイノーラルビート」って、研究している人は何だか特定の人に決まっていて、それも、権威ある科学誌ではなく二流科学誌でしか見れないんですけど…。

    あの~、「レゾ・メモリー」って”resolution memory”ってことですか?

    さてさて、やっぱり引用で出てきましたね!
    ほとんど論文らしきものも出せないで、「洗脳」を大衆に広めることがお好きな〇米地〇人氏。

    普通にステレオだけで聴けば何とも思わないものを、左だけ聞かせ、次に右だけ聞かせた後にステレオで聴かされると、それだけでスゴイことに思えてしまう上に、周波数が違うことをダメ押しで刷り込んであげれば、聴き手は感動してあなたの思うままですね。

かつて、京都大学アメフトのギャングスターズが全盛時代、ワイドレシーバーに福島君という名選手が居られまして、彼は試合前にモーツァルトをヘッドフォンで聴いていました。

もちろん、試合前の集中力を高めるための彼なりのやり方だったのでしょう。

しかし、勘違いしてはいけないことは、彼は普段の練習をせずにモーツァルトを聴いていたから名選手になったわけではないということです。

当たり前のことなのに、「モーツァルトを聴けば、名選手になれる」ということを商売にする輩が出てくるのです。

感情を揺さぶって「やる気スイッチ」が入れば誰も苦労はしませんわ!

また、杓子定規なことを抜きにしても、宿った子どもによい環境を与えたいと思う母親がモーツァルトや癒しの音楽を聴くこととは、まったく意味も目的も異なるということです。

勉強法に特定される以上、モーツァルトでも??なのに、バイノーラルビートですか?

まぁ、感情だけコントロールして「やる気」が出たにせよ、いざ出陣で出陣したものの、何の兵法の知識もなく、どうやって戦うのということに尽きますね。

この顛末は、言わずもがな、再び「やる気」を失くして、「元の鞘に収まる」ということです。

ケース2:日本語も出来てないのにバイリンガルですって

  • 差出人:お子さまバイリンガル事務局 <*****@youenjoyyou.info>
  • タイトル:夏休中子供に習得させる英会話【〇田式】

あなたのお子さんは英会話の勉強でこんな間違いをしていませんか?

  • 英語をシャワーのように聞き続ければ英語が話せるようになると信じて、ただひたすら聞き続けている。
  • TOEIC450、TOFEL600に出てくる単語を単語帳に書いて、ひたすら暗記している。
  • 高校生の頃にならった英語の勉強法どおり、正しい文法を身につけようと努力している。
  • 英語を話す時、頭の中で英作文をしてから、話そうとする。

もし、上記に一つでも該当したら、残念ながらあなたのお子さんは、外国人とスラスラ会話できるようになるのは非常に困難です。

しかし!!!
たった35日で私の子供が英語を話し始めた!

〇天市場ランキング『4部門制覇!』ありがとうございます!

◇教材ランキング◇学び・サービスランキング
◇英語ランキング◇通信講座・教材ランキング

・・・

リンク先URL

「右脳!右脳!」とのたまう代表的サイトの滑稽さ!

リンク先はきっとあちこちで見かけられますので、特に英才教育に興味のある保護者さんなら知らない方は少ないかもしれませんね。。

残念なのは、藤井聡太七段がモンテッソーリの幼稚園に通っていたと言えば、世の中は一変してモンテッソーリを英才教育と結び付けて商売をし始めることです。

モンテッソーリは世間が騒ぐ意味での英才教育ではありませんし、本当のモンテッソーリを行っている園は少ないと思いますよ。

そもそも国際&日本モンテッソーリ協会の正式な資格認定を持った人は少ないでしょうから、モンテッソーリを採り入れているというだけの幼稚園や保育園が多いのではないかと思われます。

ともかくも、モンテッソーリやシュタイナーは、〇田式や〇コ〇ネ式(読みましたが、「それがどうしたん?」状態)などと並列に並べられること自体が失礼に当たります。

さて、このサイトに関しては、問題点と問題提起だけ記しておきましょう。

  1. ディプロマ・ミル(偽学位・偽称号)を使って権威付けをしている
  2. 常識で考えても分かる「語学は右脳」論のこじつけ
  3. ちなみに真っ当な学者が『右脳』なる言葉を公式に使うことはありません。『右半球』です。

  4. 早期英語教育に関してはデメリットが大きいとするのが、学会や英語教育専門家の圧倒的主流です(後述)
  5. 〇田式や〇コ〇ネ式を受けたおかげで、立派な英才、立派な社会人になった人は居るの?という素朴な疑問
  6. 私の友人は中学入学前の帰国子女で、当時はさすがに英語ペラペラでしたが、今ではほとんど喋れません
  7. 英語が喋れるだけで、将来、大した仕事が出来ると考えるのは誤解です

次の引用から、「語学は右脳」というでまかせや「早期英語教育」の危険性を念頭に置いていただけるなら、これほど嬉しいことはありません。

  1. 日本語が下手な人は、外国語を身につけられるけれども、その日本語の下手さ加減よりもさらに下手にしか身につかない。
  2. 2013年6月1日の朝日新聞天声人語に書かれた故米原万里さん(ロシア語同時通訳者)の名言

  3. 「英語は好きだが国語はきらいだという態度は、諸君の英語力そのものの進歩をとめるであろう。この方面〔=英文解釈に必要な論理的思考〕の力の錬磨ということに関しては、英文であろうと日本文であろうと思想的、哲学的内容を持ったものを極力読まれることをおすすめする。」
  4. 『英語の構文150』(私もお世話になりました)でお馴染みの故高梨健吉先生(慶應義塾大学名誉教授)

    引用は、希望の英語教育へ~和歌山大学 江利川教授のブログ~

  5. 少なくとも幼児時代(5,6歳まで)にはじっくりと一つの言語(国際結婚の家庭では二つのことば)と取り組み、ことばを使って伝える力、考える力、人とうまくやっていく共生力などを養うことが何よりも大切。
    母語の基礎が出来ていないところに現地語での学習を押し付けるから学業不振に陥る。
  6. 母になる木がしっかりしていれば、接ぎ木もすくすく伸びるが、母木が弱い場合は両方伸び悩む。(カミンズの相互依存の原則)
    具体的には、4~8歳ぐらいまでに継承語(同国人夫婦の子どもの場合=母語)をしっかり育てておけば、現地語(第二外国語)も育つし継承語も継続して伸ばせる可能性があるが、4~8歳ぐらいに継承語を失ってしまうと、母語も伸びないし現地語も伸び悩む。この意味で幼児・小学校低学年での継承語教育は、特にその教育的意義が大きい。
  7. バイリンガル教育の研究者 中島和子先生(トロント大学名誉教授)の名言

    引用は、母語・継承語・バイリンガル教育研究会

母語をしっかりと身につけてこそ第二言語の習得もスムーズにいくというのが英語教育の定説です。

英語ペラペラの方や松平先生のようなマルチリンガルも別に早期教育を受けられたわけではありません。

ご参考までに、下記に目を通しておかれても損はないと考えます。

ネットに横行する悪意に満ちたビジネスにご注意!

ネットには、これだけ悪意に満ちたビジネスが、まだまだ横行していますので、注意されてください。

当方がネットを20年以上見てきました結論からも、「情報ビジネス」を知らずに、いい加減な書籍が横行することに反抗の意味を込めて執筆を提供された松平先生や同時期に同じ理念を持って発信を開始した当方の他は、ちょっとレベルが貧弱とはいえ真面目に発信されているのは極めて少なく 、併せても両手で余りある程度であることだけはお伝えしておきたいと思います。

脳科学(本来は「神経科学」)や心理学を知ることは、とても有益なことです。
しかし、この分野はいい加減なものの方が多いということを知っておいていただければ幸いです。
脳科学や人工知能(AI)においては、特に文系出身商売人の物言いには注意されんことをおすすめ致します。