【帝都大学へのビジョン】ご活用の皆さんには医学部志望の受験生が多いようです。
そこで、医大・理系の入試問題も加えて着眼点を記していきたいと思います。
時には『ポリア風』に、時には『点と線のメモ書き風』に・・・。

詳しく解説しているとキリがありませんので、問題は解かないで着眼点だけメモしておく形で進めます。
尚、web上では、数式は基本的にテキストベースで書かせてもらいます。

2013年 東京医科歯科大学数学第2問


さて、行列の問題であることは一目瞭然だよね。

0) 準備

(ⅰ),(ⅱ),(ⅲ)の条件から言えることを、日本語としてあるいはイメージとして理解することが大切。
単に、記号が並んだ式としてだけ見てちゃダメ!

(ⅰ)はそのままの意味。
(ⅱ)は?

b+c=0 だからc=-b だよね。
だから、ここは2次正方行列において、
『cのポジションにはbと符合反対で同じ大きさの整数が入るんだ』って風に理解しておくわけね。

(ⅲ)は(ⅱ)でcを-bで置き換えたことで、d=a-bとdをbとdで置き換えるのが妥当。

で、『dのポジションは1行目の左-右、即ち、a-bが入るんだ』って理解になる。

1)

ここまでの理解通りに、2つの2次正方行列を、それぞれ2つの文字を使って表して掛け算をすれば、3つの条件が満足されることが、そのまんま 証明できるはず。
じゃないと問題にならない。

2)

逆行列は公式ですぐに出るよね。
但し、逆行列が存在する条件をきちんと検証しておかねば・・・。
 
0)で準備したように、最初から行列Aをaとbの2文字にして進めていくと、式も少なくて効率的なはず。
 

3)

3つの条件と2)で出てきた条件ad-bc=1 を加えればよし。
2)において、3つの条件は行列を2文字で表現することでクリアーされたから、ad-bc=1は2文字で表現されたはず。
この2文字での条件が、それぞれ整数であるという条件から、値が限定されてくるということだな。

4)

ケーリー・ハミルトン?
その前に、しっかり理解しておかないと意味不明になるぜ。
こんなときは、やっぱりnを小さい数から順に確認していくことが賢明だね。

【具体から抽象へ】だ!

Snの要素の個数とは?
  A=Eを満たすような行列Aの全体の集合がS1・・・①
  A2=Eを満たすような行列Aの全体の集合がS2 ・・・②
  A3=Eを満たすような行列Aの全体の集合がS3 ・・・③
 ・・・

①はどう考えても1個しかないよね。
A=Eを満たすような行列 はEしかありゃしない。
要素の数はこれだけの1個

②は、①のA=Eが要素として含まれる。
A2=AAだから、1)によりA2は集合Mの要素
AA-1=EだからA=A-1を満足する行列(A=Eを除く)がA2=Eの要素となる。

③は、①のA=Eが要素として含まれる。
A3=AA2だから、1)によりA3は集合Mの要素
AA-1=EだからA2=A-1を満足する行列(A=Eを除く)がA3=Eの要素となる。

何となく分かってきた。

a)行列Aが集合Mの要素である限り、Anは集合Mの要素であること

b)An=AAn-1=E ⇒ An-1がAの逆行列であること

以上2点により、

3)で求めた行列の中から、n乗して単位行列になる要素が3個だけあるようなnを求めよという問題になってくる。

3)までは基礎がしっかり出来ていればできそうだけれども、4)はなかなか本質が見抜きにくい問題だろうね。
このあと、解答をまとめるにも、表現力も必要でなかなか難しそうだ。

ケーリー・ハミルトンを使うかどうかは書き進めてみないと見えないな。

健闘を祈る!!

■関連資料

帝都大学への数学vol.10 徹底理解!高校数学の「行列」

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