イベルメクチンと新型コロナウィルス症 covid-19について
イベルメクチンと新型コロナウィルス症 covid-19 まとめ
最初にお断りさせていただきますが、イベルメクチンが新型コロナウィルス症 covid-19の治療薬として有効かどうかは、まだ結論を出すことはできません。
一般社会における無責任な賛否両論などどうでもいいことなのですが、専門家やその論文ですら主張が分かれているのですから、誰もがその良否をまだ断定できないと考えることが正しい出発点です。
また、「そもそも、新型コロナウィルス症に対する治療薬ってどんなものがあるの?」と全体の概要を知っておくことも大事なことですね。
そんな場合は、下記のページも併せてご一読ください。
にもかかわらず、ワクチン接種を受けるかどうかを判断する時期となった6月に、私自身はいざの時のための保険として、ワクチン接種はとことん様子を見る代わりに(多分、年中接種が推奨されるかもの予測)、自分も含め家族のためにイベルメクチンを確保しておくことを決断しました。
もちろん、私自身、イベルメクチンの信奉者ではありませんが、ワクチンにも信頼が置けない現段階で庶民としてとりあえず押さえておこうというレベルでの決断ですから、無駄になっても構わないというスタンスであることは言うまでもありません。
そして、他人にも自分にも感染させないためには、マスクを徹底するということで、ほぼ完璧に対応できることは間違いないと確信していることもあります。
2021年8月現在では、イベルメクチンは私が調達した時6月よりも50%アップというような価格となっていますから、日に日に高騰していっているようです。
イベルメクチンを巡る最新動向
後述「インドの州における感染率・死亡率の著しい差」にも記述
イベルメクチンとは?
イベルメクチンは、日本の大村智 博士が、土壌中に発見した新種の放線菌が産生するアベルメクチン(北里研究所時代)をアメリカのMerck社が寄生虫駆除薬として開発した化学誘導体です。
大村智 博士は1975年より元Merck社のWilliam Cecil Campbel博士とともにイベルメクチンの研究を進め、ともにノーベル生理医学賞を2015年に受賞しました。
改めて「そうだったな!」と思い起こす方も少ないかもしれませんね。
日本をはじめ先進諸国では、犬のフィラリア駆除薬として最もメジャーな成分として名を知っているだけの方が多いのではないでしょうか?
元々は、牛や馬、羊などの家畜の寄生駆除薬として重宝されていましたが、そのうちに、実は人間に対しても特に熱帯病とされる病気に絶大な貢献をしてきた、あるいはしているお薬の成分です。
イベルメクチンを成分とするワンちゃんのフィラリア予防薬は日本での薬名が「カルドメック」(世界では「ハートガードプラス」:Merial社製品)であり、圧倒的なシェアを誇っています。
我が家の9歳の柴犬も、これだけは先発薬「カルドメック」で9年間押し通しています。
※間違っても、フィラリア予防薬はもちろん動物向けのイベルメクチンを人間が新型コロナのために使用してはいけません。
イベルメクチンの歴史的功績
熱帯地方に多く存在したオンコセルカ症(河川盲目症)及びリンパ性フィラリア症(象皮病)治療のために、WHOの協力の下、1987年より熱帯地方住民にイベルメクチンの無償配布が行われ、数年前までにオンコセルカ症はコロンビア・エクアドル・メキシコ・グアテマラの順に撲滅宣言が出されるにまで至っています。
今では、東南アジアを中心とする糞線虫症の治療薬としても多く利用されているものです。
新型コロナウィルス症covid-19への適応外使用の可能性
2020年4月3日、オーストラリア ロイヤルメルボルン病院 Caly博士、モナシュ大学 ウイルス学者 Wagstaff博士 etcによって、このイベルメクチンが新型コロナウィルス症covid-19の治療に有効かもしれないという可能性を示唆した論文が発表されて、一躍脚光を浴び始めました。
ここで、私たちが「イベルメクチンが新型コロナウィルス症 covid-19の治療に有効かもしれない」という可能性を簡単に最初に見極めたいと思う場合、当然ながら、「では、これらの熱帯病と呼ばれる疾病のためにイベルメクチンを常用的に服薬している人は新型コロナには感染しにくいのではないか?」という推論を立てるのではないでしょうか?
私たちの判断にとっては重要な出発点になるのではないかと思いますので、重要な情報だけを先にご紹介しておきたいと思います。
この視座での調査をし、最初にアフリカの国々の罹患率が低いことを専門雑誌に投稿したのは実は日本の一医師だったようですが、その後、
- 2020年11月28日:
アフリカにおける予防化学療法でイベルメクチンを使用している国は使用していない国に比べて、罹患率が有意に低かった - 2020年12月30日:
アフリカ-オンコセルカ症発症予防プログラム(イベルメクチン使用)に参加している国19か国と参加していない国35か国の比較において、参加国が罹患率で8%、死亡率で28%低かった
COVID-19: The Ivermectin African Enigma(COVID-19:イベルメクチン アフリカの謎)
しかるに、私が2021年6月現在、ロイターの統計で調べたところでは、確かに、地域全体としては中南米やアフリカの罹患率はアジアや欧州・アメリカと比較して低いことは言えそうです。
ただ、死亡率では中南米はむしろ欧州やアメリカより高く、感覚的で申し訳ないのですが、アフリカや中南米でイベルメクチンを常用している国々の罹患率が有意に優れているとまでは平均値としては見受けられませんでした。
これは医療の質に依るのかもしれませんが、それであればアフリカも同じではないかという疑問が持ち上がります。
総じて、主観の入る余地のないデータであっても、同じ国であっても実際の治療は相違しているという事実、全人口を母数とする罹患率でよいのかという課題や、適応症が違うとはいえ、お薬を常用してきたであろうことによる効果の軽減、時間の経過や政府の対応策のなどによる変化、変異株による影響など様々な要素が作用していることでしょうから、これだけのパラメータで判断することはできません。
ただ、現在でも良好な結果が出ている臨床データが多いことも事実です。
しかし、同じ国であっても、医療機関によって治療方法・治験プロトコルは違うでしょうから、医薬の組み合わせ等も含めて、よほど精緻にデータが汲み上げられていない限り、平均値で概略を掴むことしか出来ないのが現実ですし、臨床プロトコルの質の問題まで精査しないと正確な分析には近づけないという問題もあります。
このことを暗示する格好の例がインドであると言えましょう。
イベルメクチンを採用した州と採用しなかった州の感染率と死亡率に「有意である」というような比ではない歴然とした差が生まれています。
おそらく、イベルメクチンは人間に本来備わっている遺伝子や蛋白や伝達因子をターゲットにするのではなく、Sars-CoVに特異な蛋白の持つ作用を標的に出来るからではないかと考えています。
■9月25日追記
上述の「イベルメクチンを巡る最新動向」の情報から、表題のデータを取り込み、しっかりと判断し汲み取っていただければ何某かのヒントになるのではないでしょうか?
インドの弁護士会がWHOの科学者を提訴するまでに至ってる状況を、しっかりと総合して判断することは患者サイドとしては重要なことではないかと思います。
新型コロナウィルス症 covid-19に対する治療の可能性を患者として分かりやすく理解できる表現がどこにも存在しませんので、現在、模索しながら構築中です。
これらを頭に入れた上で、イベルメクチンのことには一言も触れられていない下記記事のコメントを一読されると面白いかもしれません。
インドから新型コロナ感染の今を伝える日本人女性 多くの犠牲の一方で感染者激減の背景は
イベルメクチンのcovid-19に対する臨床データは下記よりリアルタイムでご覧いただけます。(他の有効成分もあり)
公開している@CovidAnalysisは後述するFLCCCと同じ母体かもしれません。
Ivermectin for COVID-19: real-time meta analysis of 60 studies
COVID-19のためのイベルメクチン:60の研究のリアルタイムメタ分析
いずれにしても、何故、抗寄生虫薬の有効成分であるイベルメクチンが2019年の新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の予防・治療に有効な症例が数多く報告されるに至っているのか?
実に不思議なところではありますが、本コンテンツで大枠を掴んでいただければ幸いです。
その前に、目先の課題である新型コロナに対するワクチンを巡る状況を見ておきましょう。
実は、私自身は65歳以上になってしまいましたから、当然ながらワクチン接種の予約はできる状態なのですが、自己判断でまだ申し込んでいません。
むしろ、前述しましたように、自分も含めた家族のいざの時のために、保険としてこのイベルメクチン(商品名「ストロメクトール錠」のジェネリック薬)を調達・確保しておくことを優先しました。
新型コロナに対するワクチンを巡る状況
政府やメディアに露出する医療関係専門家においては、「安全性において重大な懸念は認められない」「副反応のデメリットよりも予防のメリットが大きい」と評価されていますが、これを死亡率の観点からまとめてみました。
新型コロナ・ワクチン接種によると考えられる死亡率
新型コロナに対するワクチン | 季節性インフルエンザワクチン | ||
---|---|---|---|
2018年(平成30年)シーズン | 2019年(平成31年=令和元年)シーズン | ||
期間 | 2021年2月17日~2021年7月2日 | 2018年10月1日~2019年4月30日 | 2019年10月1日~2020年4月30日 |
接種数 | 39,218,786+α | 52,511,510 | 56,496,152 |
死亡報告件数 | 556 (ファイザー:554件 モデルナ:2件) |
3 | 6 |
重篤報告件数 | - | 131 | 148 |
ワクチン接種による 死亡率(件数/100万回接種) |
11.6件 | 0.057件 | 0.106件 | データソース 厚労省 |
新型コロナワクチンの副反応疑い報告について | 平成 30 年シーズンのインフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告について | 令和元年シーズンのインフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告について |
新型コロナ・ワクチン接種を考えるヒント
上記のデータにおいては、
※データでは、ワクチン接種との因果関係が評価できないものが多数あることは考慮せねばならない。
※とはいえ、基礎疾患・持病などが原因で死亡したと仮定すれば、ワクチン接種後1週間程度の期間に集中していることの説明が困難。
※接種回数は、この段階では1回接種の人数が多数を占めるので、人数換算すれば12人以上/100万人と見なさなければならない。
※結果としては新型コロナへのワクチン接種による死亡率は、従来の季節性インフルエンザ・ワクチンに比すと109.5倍~203.5倍。言い方を変えれば「千万が一」と「十万が一」のオーダー差があるということ。
※ところが、死亡リスクの高さを政府もメディアも誰も語らない。
※「安全性において重大な懸念は認められない」「副反応のデメリットよりも予防のメリットが大きい」と評価されているが、その線引きは何に依拠しているのか?
※確率としてみれば0.001%程度と極めて小さいことは確かですが、従来の季節性インフルエンザ・ワクチンよりも死亡リスクが高いことに何も言及しなくてもいいのか?
※アナフィラキシーに備えるためにエピネフリン(アドレナリン)は当然用意されているでしょうが、、それでこの死亡率ということは安全と言えるのか?
※接種したにもかかわらず感染するニュースも目につく。
※ちなみに、逃げようのない津波による死亡が9割を占めると言われる東日本大震災を同じように数値化すると以下のようなことになる。
2021年7月2日現在
- 関東・東北・北海道人口:5,745万人
- 死亡者数:15,899人
- 行方不明者数:2,525人
- 震災による死亡率:276.8人/100万人
もし、津波を伴わない大震災であったならば、死亡率のオーダーは1桁オーダーが落ちていたと考えられますから、ある意味、今回の新型コロナのワクチン接種による死亡率は大きな自然災害レベルの死亡率にも匹敵すると推測されます。
さらに言えば、ワクチン接種によるのではなく、実際に感染して、その後重症にまで至り死亡した人数(2021年8月2日現在:126人/100万人)を加味すると、新型コロナウィルス症 covid-19自体を「単なる風邪」で済ますことは出来ないことも明白です。
緊急を要するとはいえ、ワクチン接種を「安全性において重大な懸念は認められない」という言葉で片づけてしまってよいのかどうかの問題は大いに検証する必要があるのではないでしょうか?
とともに、公式の広報がどうであれ、それぞれの個人が自分で判断し、意思決定していくことが必要ではないかと思います。
■8月4日追記
案の定、ラムダ株の猛威によって、ワクチンの3回目接種が言われ始めました。
さらに、医療がひっ迫してのことであることは明白ですが、これも案の定、首相は「重症者以外は自宅療養」の方針を打ち出しました。
おそらく、今後は自宅療養で重症化する人が一定数増加してくることが見込まれるでしょう。
イベルメクチンは新型コロナウィルス症 covid-19の治療薬として有効か?
抗ウィルス薬ではなく駆虫剤が新型コロナウィルス症covid-19に効くかもしれないとはお釈迦様でも予想できまいといったところですが、実は新型コロナウィルス以前の2004年コロナウィルス流行後頃からSersやMersを対象とした抗ウィルスとしての研究は地道に行われていました。
とはいっても、やはり抗寄生虫薬をコロナウィルスとリンクさせるには、やはり、優秀な専門家の直感って奴からっ始まったことでしょうし、尚且つ、それが基礎研究の連鎖に繋がるものとしての興味ある結果を導いたものであったからでしょう。
その源流ともなる研究は、下記に示した2006年のマウントサイナイ医科大学から2007年のノースカロライナ大学チャペルヒル校、2012年のオーストラリア モナシュ大学への3つの研究ではないかと考えられます。
最初の直感が、まさか、ウィルス自体が寄生虫的なふるまいをするところからの発想ではないことは論文を読めば分かりますが、この事実の背後には、「ウィルスは生物なのか?物質なのか?」という根源的な問いの答えにも繋がる何かが隠されているかもしれませんし、そうでないかもしれません。
冒頭に申し上げたように、イベルメクチンが新型コロナウィルス症covid-19の治療薬として有効かどうかは、まだ結論を出すことはできません。
厳密にいえば、有効だと完全なコンセンサスが得られている治療薬はまだほとんど無いというのが現実ですし、急ぎ働きで開発したワクチンにしても何か危うげな点、曖昧模糊とした点が払拭されていませんよね。
ちなみに、日本ではイベルメクチンを新型コロナウィルス症 covid-19 の予防・治療に適応外として使用することは認められている(適応としての承認はされていません=保険は利きません)という事実は申し上げておきましょう。
及び腰がちな厚労省にして、世界の実例報告以上に、大村智 博士由来のノーベル賞もののお薬であるという事実が、いつになく前向きな判断を与える推進力になったのかもしれません。
ある意味、新型コロナウィルス用ワクチンの承認をするためのエビデンス・レベルと同じかむしろ良いと考えられるほどにもかかわらず、承認に至らないというところが、世界の先進国に右へ倣えでないような独自判断は避ける日本の日本らしいところかもしれませんね。
ともあれ、その認可のもとに北里大学が医師主導の治験を開始し、東京都医師会などがイベルメクチンの積極採用を提言しています。
さらに、薬品大手の「興和」が北里大学と共同で治験に入り、新薬としての承認を目指すに至っています。
- 2020年5月18日
イベルメクチンのcovid-19への適応外使用を認める。
厚労省:新型コロナウィルス症診療の手引き 第2版以降現在第5版) - 2020年9月
北里大学 医師主導型のイベルメクチンに関する第2相臨床試験開始も国内のパンデミック対応で進まず。 - 2021年2月9日
東京都医師会(尾崎治夫会長)が、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、主に自宅療養者の重症化を防ぐために、イベルメクチン及びステロイド系の抗炎症薬デキサメタゾンの緊急使用を提言。(「いずれもが、副作用が少なく、かかりつけ医のレベルで治療ができる。」)
東京都医師会の判断は、ある意味首相が下すべき判断ではなかったのかという気が致します。
- 2020年4月5日
FLCCC(Flontline Covid-19 Critical Care Alliance)
バージニア州東バージニア医学校の救急救命の医師10名によって設立
次項の結果に着目し、イベルメクチン治験の推進母体となる - 2020年6月9日(10月13日online公表)
アメリカ南フロリダ Broward健康医学センター Rajter博士etcが関連4病院の観察試験を発表 - 2021年2月11日
NIH(アメリカ国立衛生研究所)はCovid-19治療ガイドラインにおいてイベルメクチンへの見解を「否定的」から「中立的」にアップグレード。
試験群(イベルメクチン投与)173例:死亡率15.0%
対照群(通常ケア)107例:死亡率25.2%
有意差p=0.03
■重症例
試験群(イベルメクチン投与)49例:死亡率38.8%
対照群(通常ケア)107例:死亡率80.7%
有意差p=0.01
FDA(アメリカ食品医薬品局)の緊急使用許可(EUA)及び対応
- 2020年3月28日
- クロロキン・ヒドロキシクロロキン(抗マラリア薬)
- 2020年5月1日
- レムデシビル(エボラ出血熱治療薬)
- 2020年6月15日
- クロロキン・ヒドロキシクロロキン 取り消し(効果が限定的あるいは無効:WHOの治験)
- 2020年8月23日
- 回復期患者血漿
- 2020年10月22日
- レムデシビル 正式承認薬へ昇格
- 2020年11月9日
- モノクローナル抗体医薬バムラニビマブ(Eli Lilly社)
- 2020年11月21日
- 抗体カクテル(Regeneron社)
- 2021年3月8日
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療と予防のために駆虫剤のイベルメクチンを使用しないよう注意喚起
※テキサメタゾン(ステロイド剤)は当初よりEUA指定されていません。
但し、すでに承認薬であり一般的によく使われる薬であることから適用外使用としては認められており、NIH(アメリカ国立衛生研究所)及びIDSA(米国感染症学会)のCOVID-19治療ガイドラインでも推奨されています。
※テキサメタゾンは、対症療法としては有効であるとのコンセンサスが得られてはいますが、根本的治療薬としての地位には至っていないと判断されます。
※レムデシビルは10か国60チームで組織する研究グループによるランダム化二重盲検のプラセボ対照比較の最終報告で改善効果が有意に優れていることによって、正式承認薬に昇格した。
WHO(世界保健機関)の対応
- 2021年3月31日
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療にイベルメクチンを使用すべきでないとの見解を発表
上記から分かるように、WHO及びFDAはイベルメクチンを新型コロナウィルス症 COVID-19の治療に使用することは承認していません。
また、イベルメクチンに関してはNIH(アメリカ国立衛生研究所)は中立的な評価をしている一方、IDSA(米国感染症学会)も否定的な評価をしています。
この辺りは、イベルメクチンはすでに経済的恩恵をもたらさない一般的なお薬であることから、政治・経済的な駆け引きが背景にあることも否定できません。
尚、世界のcovid-19感染状況は下記のロイターが最も把握しやすくリアルタイムでご覧いただけます。
最後に、主要な関連論文だけ挙げておきますが、基本的にはイベルメクチンには2つの顔があると考えておけば理解しやすいのではないかと思います。(今後、3つ目・4つ目の顔が出てくるかもしれません)
イベルメクチンには2つの顔がある
- マクロライド系抗生物質:寄生虫のクロライドチャンネルを阻害し、寄生虫を麻痺から死に至らしめる
- 抗ウィルス:新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)が持つORF6遺伝子(サルベコウイルス亜属に分類されるコロナウイルスに特異的な遺伝子)のインポーチン結合を阻害することでインターフェロンの活性を復活させる
寄生虫の神経・筋細胞に存在するクロライドチャンネルに結合し、クロライドイオンに対する細胞の透過性を高めることで、神経・筋細胞の過分極を起こし麻痺から死に至らしめる。
イベルメクチンに関する主たる論文抜粋(最新順)
- 2021年4月19日:京都大学iPS細胞研究所
ACE発現ヒトiPS細胞を用いたSARS-CoV-2感染の個人差再現と原因究明 - 8つの治療薬候補の中で、レムデシビルの抗ウイルス効果が最も強いことを確認
- クロロキンとファビピラビルはウイルス複製を阻害せず、イベルメクチンは細胞毒性が高いことが判明
- RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)阻害剤であるレムデシビルとEIDD-2801、TMPRSS2阻害剤であるカモスタットとナファモスタットが、ACE2-iPS細胞において抗ウイルス効果を示すことを確認
- 2021年3月12日:東京大学医学研究所
Sarbecovirus ORF6 proteins hamper the induction of interferon signaling(サルベコウイルスORF6タンパク質がインターフェロンシグナル伝達の誘導を妨げる) - イベルメクチン(寄生虫駆除薬)、セリネクソール(難治性多発性骨髄腫の治療薬)はORF6によるインターフェロン阻害効果には影響を与えない
- 2020年4月3日:オーストラリア ロイヤルメルボルン病院 Caly、モナシュ大学 ウイルス学者 Wagstaff etc
The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro.(FDA が認可した薬剤イベルメクチンはSARS-CoV-2の複製を阻害する) - 2015年10月:マヒドン大学
Efficacy and Safety of Ivermectin Against Dengue Infection(デング熱感染に対するイベルメクチンの有効性と安全性) - 2012年5月1日:オーストラリア モナシュ大学 ウイルス学者 Wagstaff etc
Ivermectin is a specific inhibitor of importin α/β-mediated nuclear import able to inhibit replication of HIV-1 and dengue virus.(イベルメクチンは、HIV-1およびデング熱ウイルスの複製を阻害することができる輸入α/β媒介インポーチンの特異的阻害剤である) - 2007年:ノースカロライナ大学チャペルヒル校
Severe acute respiratory syndrome coronavirus ORF6 antagonizes STAT1 function by sequestering nuclear import factors on the rough endoplasmic reticulum/Golgi membrane(重症急性呼吸器症候群コロナウイルスORF6は、粗小小胞体/ゴルジ膜上の核輸入因子を隔離することによってSTAT1機能に拮抗する) - 2006年:マウントサイナイ医科大学
Ebola virus VP24 binds karyopherin alpha1 and blocks STAT1 nuclear accumulation(エボラウイルスVP24はカリオフェリンα1を結合し、STAT1核蓄積をブロックする)
ヒトiPS細胞を使い、SARS-CoV-2感染における個人差を研究する実験モデルにおいて、
Web page:インターフェロン応答を阻害する新たなSARS-CoV-2タンパク質の発見
SARS-CoV-2 ORF6タンパク質のインターフェロン抑制活性は、2002~2003年に世界各国で流行したSARSウイルス(SARS-CoV)のORF6よりも強いことから、ORF6タンパク質の機能が、COVID-19に特徴的な病態と関連している可能性が考えられる。
新型コロナウィルス症 covid-19の治療薬の有力候補として注目を浴びた論文。
Vero-hSLAM細胞にSARS-CoV-2を感染させて2時間後に単回イベルメクチンを作用させたところ、48時間後にウイルスRNAを1/5000以上減少させることができることを明らかにし、ヒトの臨床例への応用の可能性を示しました。
イベルメクチンの抗ウイルス活性を調べるためにVero-hSLAM細胞にオーストラリアの分離株であるSARS-CoV-2をMOI 0.1で2時間感染させた後に、5μMのイベルメクチンを添加しました(下図AとB参照)。
培養細胞を遠心分離で上清と細胞分画に分け、SARS-CoV-2 RNAの複製をRT-PCR法で分析し相対ウイルスRNA(%)を示しました。
その結果、24時間目で上清のウイルスRNAは93%減少し、細胞では99.8%減少しました。
48時間目ではイベルメクチンの効果はさらに上昇し、ウイルスRNAを1/5000以上に劇的に減少させました。
この時、イベルメクチンのどの濃度でも細胞毒性を示さなかった。
※ロイヤルメルボルン病院:オーストラリア屈指の公立病院で最先端医療の代表格。大阪市立大学医学部との連携協定病院。
※モナシュ大学:オ-ストラリアの大学において”Group of Eight”に属する屈指の重点大学でQS(Quacquarelli Symonds社)世界ランキング55位≒東京工業大学56位
※in vivo:“生体内で(の)”・・・マウスなどの実験動物を用い、生体内に直接被験物質を投与し、生体内や細胞内での薬物の反応を検出する試験のことを指します。
※in vitro:“試験管内で(の)”・・・試験管や培養器などの中でヒトや動物の組織を用いて、体内と同様の環境を人工的に作り、薬物の反応を検出する試験のことを指します。
※マヒドン大学:タイ王国の国立大学の代表格
https://journals.asm.org/doi/10.1128/JVI.02349-05
これらを論ずるには、相当時間を要しますので、追い追い付加していきたいと考えております。
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