CADオペレータは仕事になるのか?(はじめに)

【プチ設計者】の時代

【誰かバラシ出来る人ありませんか?】

実は、これは日常的にしょっちゅう聞かれる言葉なんです。

※バラシ

組立図からそれを構成している部品図を全て作成すること

そんな人が居れば、いくらでも仕事は取れるかもしれませんが、但し、【育てるなんて余裕】はとてもありません。
一発でやって貰わないと、負担が増えすぎて何のために仕事を取ったのか分からないほど、納期がきついのが普通です。

もうお分かりですね!

最初に、結論に繋がることを書いておきましょう。


CADオペレータというだけでは、一人立ち出来ません。
ExcelやWordが操作出来るのと同じ価値しかないのです。
と言うより、むしろ目的が専門的なだけ条件的には不利とも言えます。

一方、少なくとも機械の省力化設備や自動化設備の業界ではプチ設計者が非常に不足している。
という現実があります。

ここで、【プチ設計者】という言葉を使いました。
少し敷居が高いように思われるかもしれませんね。

しかし、この【プチ設計者】レベルなら理工系出身でなくともなれます。
上流の設計以外の日常的な設計業務では、理工系の学術知識はほとんど不要です。

そういう意味では、足し算と引き算だけの世界ですから、心配は要りません。
CADで図面を描く以上、四則演算とて不要と言えるかもしれません。

『ほんとですかー???』

長年、設計に携わってきた私が言うのですから、間違いはありません。
【プチ設計者】レベルでのお話ですよ!

以下に記しますことは、機械の省力化設備や自動化設備の業界の一般的なことで、金型設計や製品設計などの分野はどうなのか知りません。

まして、建築業界のことは知る由もありません。
(建築業界では、担当者自身がCADで図面を引くので、CADオペレータのニーズは少ないという話を聞いたこともあります。)

■機械の省力化設備や自動化設備の業界では■

企業の担当者が自分でCADで設計する時間はほとんどないでしょう。
全く新規で開発要素のある上流設計など以外は・・・。

となると、実際には誰が図面を引いているの?

社内の若手や設計外注に任せているわけです。

設計外注は指示に従って生産設計の全てをまとめます。
これが、実際には【想像を絶するような辛気臭い業務】となります。
O型の私にはキツイです!A型しか出来ません。
(偏見です!合理化です!笑・・・でも実際、O型は少ないように見えますね。)

設計会社ともなると、設計のできる人が部品図まで書くのはもったいない!
時間とお金の無駄遣いとなりますので、ランクの低い若手や下請け外注に依頼するという流れになります。

しかし、こなさなければならない量に対してこの層が非常に少ない!
従って、【誰かバラシ出来る人ありませんか?】となってくるわけですね。

本来ならば、CADオペレータの層に、これを丸投げして万々歳といきたいところですが、付きっきりで指示とまではいかなくとも、指示でかなり時間を費やされるということで、どこも苦労しているのが現実でしょう。

ということは、
バラシが担当者の思惑通りに出来るCADオペレータとなれば相当重宝な存在になることだけは間違いないでしょうね。

ちなみに、私のこととして言い代えれば、概ね、クライアントの意図する設計のプランが概ね出来てしまえば、あとの細かいことや最終段階の部品図など詰めの作図をすることが実はイヤでイヤでたまりません。

『あとの細かいところは、誰かやってくれー』と機械の基本が分かっていて几帳面な人に丸投げしたいのが本音です。

でも、そういう人材はなかなか無い・・・

ということになります。

バラシを頼めるのも、結局、信頼できる設計技術者しかないということになってしまい結局自分でせざるを得ないことになってしまうわけです。

ともかくも、中間層(若手修行者)が極端に不足しているわけです。
指示しないと出来ない層と設計技術者の間の層が空白状況というわけです。

指示しないと出来ない層に依頼すると、結果、自分でやるのと大して時間的にも金銭的にも変わらないということはよく耳にすることです。

CADオペレータという響きの良さだけで、CADオペレータを目指される人も多いかもしれません。
しかし、CADの相手はバブルではありません。
もの作りです。

その【もの作り】という本質部分を抜きに、カッコよさだけで成立するものではありませんので、そういうつもりで取り組んでもまず仕事は無いでしょうし、長続きもしません。

もの作りに関わる設計の実務は若いうちしか出来ません。

理工系出身でない人も、女性の方も【プチ設計者】としてのキャリアを積んでいくことは出来るのです。
そんな中で、少しずつ力学やモータなどの勉強をしていけば、設計者になることすら可能だと思います。

このご時世ですから、たいした設計などありません。
【たいした設計】なんていうのは今は昔の歴史上のお話です。
現代における仕事としての設計なんていうのは、ほとんどは模倣設計・改良設計となります。
だからこそ、【プチ設計者】の時代とも言えるのです。


CADが一般化する以前は製図台での手書きでした。
この時代には、【トレーサー】と呼ばれる製図技術者が居ましたね。

しかし、会社時代に私自身は純粋な【トレーサ】という方にあまりお目にかかったことはありません。
独立して、初めて【トレーサ】として男女各1名を雇いました。

やっぱり、時間が圧迫され、苦労が増えただけでしたね。
持ち帰りなら、ムダがいっぱい発生する。
事務所で作業してもらうと、指示や指導で自分の集中力がプツプツと途絶える。
そういうことです。

まだこれなら可愛いものですが、
派遣会社から設計が出来る人が居るので持ち帰り仕事出してもらえないかということで、仕事を出したことがあるのですが、連絡しても連絡が取れない!
納期間近になっても何の連絡も無い。

派遣会社に『どうなってるんや』と怒鳴ると、結局何も出来ていないことが分かり愕然とした苦い思い出もありました。

オペレートできるだけじゃ仕事とはならない

上で述べましたように、
【プチ設計者】レベルなら理工系出身でなくともなれます。

特に高度な技術知識が無くともアシスタント設計者程度までにはなれます!

そんなには多くない基本知識と経験が全てです。

これを読まれる中には、CADオペレータさんが多いでしょう。
女性の方が多いのかもしれません。

単なるオペレートじゃ、
仕事が無い
面白くない
と言われる方も多いのではないかと思います。

女性が、このような実務的な技術層にどんどん進出してくればとても素敵なことだと思いますね。

もし、【プチ設計者】ぐらいになれればとお考えでしたら、自信を持ってなめてかかって下さい。
1年ぐらい頑張れば、『なーんだ。こんなものか!』と思っている自分があることでしょう!

いずれ在宅で仕事がしたいとお考えの場合は、特にこのキャリアを積んでおかないと実現不可能です。
担当者の指示が無くても業務が進められないと、在宅など無理なことは明々白々ですね!

また、これを読まれる中には、学生さんもおられるでしょう。
自分は文系だからと、下らぬ【ファンド】やら【株】やらのバブル仕事を目指すくらいなら堅気の仕事を考えて欲しいと願います。

ファンドだ資金運用だ先物取引だ株だなどと、生きる根源と最も疎遠なところで偉そうにしている男どもが幅を利かせている時代ですが、彼らが男として肩身の狭い思いをして生きなければならない時代が必ず来ます。

CADオペレータになりたいとお考えの方も多いかもしれませんが、『オペレートできるだけじゃ仕事とはならない』ということを頭に入れておかれた方がよいでしょう。

今どき、英語ができるだけではいい仕事に結びつかないのと同じことです。

ともかくも、この講座では、技術的な難しいお話は一切しません。

【プチ設計者】の仕事には、まず不要だからです。

ただ、
生産管理の立場になってのお話はするでしょう。
加工の職人さんの立場になってのお話はするでしょう。
組立の職人さんの立場になってのお話もするでしょう。
何故なら、基本的な常識と併せて、これらが【プチ設計】の全てだからです。

会社によっては、CADオペレータをオペレータより1ランク上に育てようとしているところもあるでしょう。

しかし、設計技術者なら当たり前の常識でも、CADオペレータは知らないことがやはり圧倒的に多いのです。

だから、当たり前のことでも少しずつ積み重ねて、【プチ設計者】を目指して頂ければ、あなたは貴重な人材になっていく可能性は大きいと考えます。

その気がないのなら、そこまでですが、CADオペとしての仕事には量にも質にも限界があると言わざるを得ません。

もし、その気があるのなら、まず、なめてかかって下さい
たいしたことありませんから・・・。


CADソフトは自分が使いやすいとか気に入ったというだけでは選べませんよね。
クライアントがあってこその仕事ですから、クライアントの機種に合わせることが第一となります。

基本的には、建築・土木系も機械系も、AutoCadもしくはAutoCad LTは必修科目の領域でしょう。
建築・土木系では無料のJw-cadを使うところも多いと聞きましたが、やはり大手をクライアントとして持つ場合は、そういうわけにはいかないでしょうね。

機械系の場合は、昔は使用ソフトも本当にバラバラで分散していましたね。
でも、徐々にAutoCadにシフトしてきている傾向が強いように見受けられます。

その中で、フォトロン社の図脳Rapidを使っているところは多いのではないでしょうか?
僕も、中堅の会社のある部署に出向していたときに使わせてもらいました。

これから仕事を探す場合も、クライアントを探す場合も、AutoCadの経験があれば、門戸が広がりますね。
機械系も、やはり使い方に慣れると最も使いやすいのがAutoCadだと実感します。
僕も、最後の方はAutoCadしか使いませんでしたからね・・。

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