さらば 燃えない脂肪の憂鬱 第3章:栄養代謝(糖質代謝と脂肪代謝) | 2

糖質の消化・吸収・運搬プロセス

糖質は親水性を持つため、消化・吸収はそれほど複雑なプロセスではありません。

食事から摂取した糖質の大部分は多糖類ですが、消化酵素の作用により、最終的には主に単糖類のグルコース(ぶどう糖)に分解されて腸管から吸収されます。

食事から摂取した糖質とたんぱく質は、それぞれ腸管よりグルコースとアミノ酸として血中に取り込まれて全身を巡るか、門脈経由で肝臓に送られます。

これに関しては、どの文献・文書にも後者の「門脈経由で肝臓送り」としか書かれていませんので、ここでの前者(「腸管から血中に取り込まれて全身を巡る」)は鵜呑みにされないでください。

著者は、全てのグルコースがわざわざ肝臓を経由しなければならない理由が分かりませんでしたし、仮にそうだとしても本講座の主題には影響を及ぼさないだろうということで、このように記したことを付け加えておきます。

ⅰ)肝臓に送られたグルコースは、

a)食後など血中に過剰なグルコースがある場合は、インスリンの分泌に応じて、

①これをグリコーゲンに転換し貯蔵します。(グリコーゲン合成;glycogenesis)
肝臓で貯蔵されたグリコーゲンを、「肝グリコーゲン」と呼びます。

又は、
②脂肪に転換し中性脂肪として貯蔵します。(脂肪合成;lipogenesis)
この作用に関しては学術的にも通説ですが、はなはだ小さいという異論があります。

b)食間や運動時など血中にグルコースが不足している場合は、

③血中にそのまま放出します。(肝臓を通過するだけ)

又は、
④それでも足りない分は貯蔵してある肝グリコーゲンを分解して放出し、グルコース不足を補います。(グリコーゲン分解;glycogenolysis)

c)飢餓時や激しい運動時などグルコースが極端に不足している場合は、

⑤腎臓とともに乳酸・グリセロール・アミノ酸など非糖質の代謝産物をグルコースに転換します。(糖新生;gluconeogenesis)

ⅱ)血中に取り込まれ全身を巡ったグルコース(肝臓経由かどうかには関わりなく)は、

d)食後など血中に過剰なグルコースがある場合は、インスリンの分泌に応じて、

⑥各器官が余剰のグルコースを取り入れ、グリコーゲンに転換し貯蔵します。
(グリコーゲン合成;glycogenesis)
筋肉で貯蔵されたグリコーゲンを「筋グリコーゲン」と呼びます。

又は、
⑦各器官が脂肪に転換し中性脂肪として貯蔵します。(脂肪合成;lipogenesis)

e)食間や運動時など血中にグルコースが不足している場合は、

⑧足りない分は貯蔵してあるグリコーゲンを分解して放出し、グルコース不足を補います。(グリコーゲン分解;glycogenolysis)

f)飢餓時や激しい運動時などグルコースが極端に不足している場合は、

⑨解糖で生じる乳酸・脂肪分解で生じるグリセロール・筋肉のアミノ酸などを糖新生のため血中に放出します。(糖新生;gluconeogenesis)

以上の糖質の消化・吸収・運搬プロセスの流れを、次ページに系統図でまとめました。

糖質の場合は、【第2章:エネルギー代謝】で示した解糖プロセスが佳境になりますけれども、消化・吸収・運搬プロセスの部分も軽くなぞりながらおさらいをしてみてください。

そして、【第2章:エネルギー代謝】と併せて、次の言葉で認識しておきましょう。

  • 糖質は、それ単独でエネルギー源となり得る。
    • 【第2章:エネルギー代謝】で述べた無酸素エネルギーミドルパワー
    • 脳は糖質を主に使う(絶食・飢餓などの非常時は例外)
  • 糖質を軸として脂肪が参加するプロセスが私たちのほとんどのエネルギー源である。
  • 脂肪は単独ではエネルギー源になれない。必ず糖質とペアでエネルギー源にされる。

■糖質の消化・吸収・運搬 系統図

糖質の消化・吸収・運搬 系統図

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[点線で表した部分の意味]

※1

教科書的には、門脈・肝臓経由で書かれており、経由せずに直接血中に入り全身に運ばれるルートがあるかどうかに言及した資料にはお目にかかれませんでした。

※2

教科書的には肝臓で脂肪合成が行われると書かれており、確かにこれが通説ですが、肝臓での脂肪合成は皆無ではないがほとんど行われないという反証論文もあり、学術界でも見解が二分されているようです。
糖質を多く摂るか摂らないべきかの論議の論点の一部をなすものですから、ダイエットに関心がある方には注意深く見守る必要がありそうです。

もう一つ、脂肪の消化吸収でも再び提示しますが、下図は、血中の栄養分から細胞で中性脂肪が合成される系統図です。
(特に脂肪細胞ですが、通常の細胞でも一時貯蔵のため合成されます)

糖質の立場から、中性脂肪合成の構図を先に眺めておくと、後々の理解に役立つと思いますので、ここに示しておきます。

脂肪合成 系統図

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インスリンが分泌されると、グルコースはGLUT4と呼ばれる輸送担体(トランスポーター;運び屋の意)によって、脂肪細胞内に取り込まれ、グリセロール3リン酸となり、脂肪酸から生成したアシルCoAと結合して中性脂肪となり貯蔵されます。

ここでは、次のことを頭に入れておいてくださいね。

脂質を基質としたアシルCoAと糖質を基質としたグリセロール3リン酸とによって中性脂肪は作られます。

脂肪酸から脂肪を合成し中性脂肪として貯蔵する材料として糖質は必要不可欠なのです。

また、後ほど脂肪分解のお話もしますが、脂肪を燃焼(脂肪分解)するにも、糖質こそがその炎の役割をするんです。

※3

白色脂肪細胞に貯蔵される中性脂肪は、食事で摂った脂肪分に由来するだけのものではなく糖質から肝臓で合成された脂肪由来もあるというのが通説ですが、僅かしかこの能力は無いという学説も有力と思われることから、点線の枠組みで囲んでいます。
(先ほどの※2と同じ)

糖質を多く摂るか摂らない論議の論点の一部をなすものであり、糖質と脂肪の代謝から見て、「どちらの比率を減らせばよいのか?」「糖質は減らすべきなのか?」
専門家の間でも真二つに分かれているほどのことを含んだ問題です。

その上に、ちょっとかじりの素人までが混じって、「私こそ正しい」と論議しあっている状況、すなわち、それぞれの仮説と流儀を主張しあっている状況と言えるかもしれません。

コンセンサスを一つに絞れないほど、まだまだ代謝の全体の繋がりは解明されていないということですね。

ですから、

  1. 中性脂肪は、糖質を基質として体内(肝臓)で常に合成され、血中に流されるようなチャネルも併せ持っている。
  2. すなわち、血液中には摂食による脂質と肝臓由来の脂質の2種類が流れている。
  3. しかし、一方では、肝臓で脂肪が合成される能力はきわめて低いという反証もある。

この3点で捉えておくに留めましょう。
本当に、代謝は難しいものです。

※4

肝グリコーゲンは、食間や運動時など血中グルコースが不足した場合に、グルコースに分解され、血流に乗せて必要な組織に運搬分配されるのであって、中性脂肪を作るために出てくるわけではありません。

本講座は、引き締まった美しい体を作るシェイプアップ(一般的に「ダイエット」と呼ばれているもの)に関する正しい理論と手法を、誰にでも分かりやすく紐解くことを目的としています。

ご存知の方は少ないかもしれないWとB(読まれていく内に正体を現します)にスポットを当て、世にある多くのダイエット手法とは代謝的に全く別の根拠によるアプローチをご紹介しますが、ダイエットの本道は【過剰にならない一定の糖質をジャストインタイムで摂取する】ということ以上でも以下でもないということをバラシておきましょう。

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