さらば 燃えない脂肪の憂鬱 第3章:栄養代謝(糖質代謝と脂肪代謝) | 9

美しきエネルギー生産工場-脱共役とともに-

  • 血中にカイロミクロンとして運ばれた中性脂肪が分解された遊離脂肪酸
  • 白色細胞で貯えられた中性脂肪が分解されて放出された遊離脂肪酸
  • あるいは自細胞で貯えられた少量の中性脂肪が分解されて放出された遊離脂肪酸

今度は、これらの遊離脂肪酸を使い、通常の器官細胞がエネルギーを産生していくメカニズムを見てみましょう。

ここで、【第2章;エネルギー代謝】の解糖系の流れを思い起こした方は居られますか?
素晴らしいですね!

解糖系で生成されたピルビン酸が、ミトコンドリア内に入り好気性代謝に参加していることを再度確認してみてください。

ピルビン酸がミトコンドリア内でアセチルcoAに変換されて、クエン酸回路に入っていきますね。

遊離脂肪酸から変換されてアシルcoAになったところまで説明しましたが、この後、実は、このアシルcoAもミトコンドリア内でアセチルcoAに変換されるのです。

まさしく、ミトコンドリアの中では、糖質から代謝してきたものと脂肪から代謝してきたものが同じアセチルcoAとなり、巨大なエネルギー生産工場ミトコンドリアの中に入っていくのです!

このエネルギー生産工場の心臓部クエン酸回路は全てアセチルcoAが投入されるところから始まるのですね。

下にプロセスの流れ図を示しましたので、これと対照しながら図以下に説明しました芸術的なエネルギー産生プロセスをご堪能ください。

ここでの舞台は細胞質ゾルからミトコンドリア内に移っていきます。

クエン酸回路

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クエン酸回路での反応の詳細やこれと関わっての電子伝達系や呼吸鎖を含めてのATPエネルギー生成の収支までを説明しては生化学の教科書になってしまいますし、分かりやすく説明しようとすれば大変な作業になってしまいます。
何より、難しくて引かれてしまっては意味がありませんのでまたの機会に譲りましょう。

この工程は私たちの主たるエネルギー代謝そのものですが、ここではこの工程を逸脱してエネルギーを消費するという褐色脂肪細胞パフォーマンスをお約束通り書き記しましょう。

まずミトコンドリアの構造ですが、二重構造の生体膜に包まれています。
お決まり通り、外から「外膜」「内膜」と呼び内膜の内側は「マトリクス」と呼ばれます。
「外膜」と「内膜」の間は「膜間腔」「膜間スペース」と呼ばれます。

ATPを産生する酵素や、電子伝達を行う酵素は内膜にあるんですね。
そして、褐色脂肪細胞特異のUCP1も、この内膜にあります。

通常は、ATPを産生する機構(リン酸化)と、電子伝達を行う呼吸鎖(酸化)が協力し合って、エネルギーをATPから産生しています。
これが「共役」の意味するところであり、「酸化的リン酸化」という言葉と対応しています。

ところが、脱共役タンパクUCP1が活性化されると、その名前通り、ATP産生機構と呼吸鎖の協力関係を短絡して、ATPを経由することなく熱エネルギーとして放出するというルートが作動するというわけです。

ATPを産生するスタートラインは、基礎代謝は別とすれば、体を動かすことにありました。
しかし、褐色脂肪細胞UCP1を作動させるのは運動ではなく、寒冷暴露であったり過食であったりするわけですから、別の言い方をすれば、「運動とエネルギー消費の関わりを脱共役すると言ってもいいメカニズムなのですね。

呼吸鎖は、解糖系やクエン酸回路などで得られたNADHやFADH2のプロトンH+(水素原子から電子が離脱し陽子がむき出しになったもの)をCoQ(ユビキノン)やシトクロムCを通じて最終的には酸素に渡していくプロセスで、最終的に酸素は還元されて水H2Oになります。

この呼吸鎖のプロセスで、マトリックスから膜間腔へプロトンH+が汲み上げられます。
これにより、マトリックスと膜間腔にプロトンH+の濃度差が生まれ、この濃度勾配が駆動力となって(代謝メカニズムでは濃度差で作動するメカニズムが多く、これを濃度勾配と呼ぶ)、プロトンH+はATP合成酵素シアンターゼを通ってマトリックスに移動します。

この際に、ADPとリン酸からATPが産生されることになります。(リン酸化)
呼吸鎖のプロトン汲み出しとATP合成酵素が相互に関わりあってATPを産生することが、「共役」と呼ばれる所以なのですね。

エネルギー代謝で説明した、無酸素エネルギーでのリン酸化とは少し異なりますが、このメカニズム(好気性代謝)が私たちの消費するエネルギーの大部分をまかなってくれているのですね。

閑話休題;L-カルニチン・ダイエットに関して

上の流れからもお分かりいただけますように、遊離脂肪酸はカルニチンの手助けによってはじめてミトコンドリア内に入っていけましたね。

カルニチンを摂取すれば、脂肪を燃焼しやすくダイエットにも有効という売りでカルニチンのサプリが結構売れている背景にはこの根拠があります。

確かに、カルニチンが不足していれば、脂肪をたくさん分解しても、肝心のミトコンドリア内に運んでもらえませんから、脂肪燃焼は抑制されるでしょうが、カルニチン自身はミトコンドリアというエネルギー生産工場内への運び屋の役目であって実際に脂肪燃焼に関わっているわけではありません。

それなのに、カルニチンが脂肪を燃やすと受け取れる文章があまりにも多く巻き散らかされています。(正規の販売店ではないでしょうけれども・・)

また、ダイエット業界は、学術的な実験結果を商品の宣伝に利用したいという目的意識が強いですから、どうしても短絡的な拡大解釈をして謳い文句にします。

L-カルニチンに関してのダイエット効果に関する評価は、海外でも分かれており、人での効果を立証した論文はメーカレベルの論文でしか見当たらないようです。

独立行政法人 国立健康・栄養研究所のデータベースでは、様々な疾患での有効性・非有効性が記されていますが、

  • 医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)
  • ヒトの脂質代謝への有効性については信頼できるデータは見当たらない
  • 適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われる
  • 構造異性のD-カルニチンや DL-カルニチンを服用は危険

となっています。

また、カナダ保健省では、2010年5月、医薬品成分ヨヒンビン、エフェドラ、DHEAを含んでいたL-カルニチン、アセチル-L-カルニチン製品に対し注意を喚起している事実もありますから、国が違うとはいえ成分にはくれぐれもご注意された方が賢明でしょう。

何のサプリにしてもそうですが、大量服用になってしまうことが一番怖いことですね。

本講座は、引き締まった美しい体を作るシェイプアップ(一般的に「ダイエット」と呼ばれているもの)に関する正しい理論と手法を、誰にでも分かりやすく紐解くことを目的としています。

ご存知の方は少ないかもしれないWとB(読まれていく内に正体を現します)にスポットを当て、世にある多くのダイエット手法とは代謝的に全く別の根拠によるアプローチをご紹介しますが、ダイエットの本道は【過剰にならない一定の糖質をジャストインタイムで摂取する】ということ以上でも以下でもないということをバラシておきましょう。

誰にでも理解しやすいようにまとめてはいますが、一方で、医学系・看護系の大学新入生レベルには今後の勉強の基本予習・イメージ作りとしても有益ではないかと思います。

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