従来のホームページ?それともCMS?
トップページで、ホームページ制作料金は市場の相場として端的にまとめれば、1ページ当たり5,000円~50,000円とピンキリと書きました。
その理由の一つとして、サービスの方式や内容が千差万別だということがあります。
ホームページを持ちたいと決意されたあなたも、いろいろサイトを見て回られましたよね?
でも、おそらく何が何だかサッパリ分からないというのが正直なお気持ちではないでしょうか?
ホームページは誰のものか?CMSの無知が思わぬトラブルに…
最初のお話は、最も重要なポイントになります。
独自ドメインを取得しておられるなら、ドメインの名義は貴社(貴店舗)になっていますか?
制作会社のシステム利用されているなら、貴社のコンテンツは制作会社所有の器に盛りつけられているだけということを理解しておられますか?(閉鎖されたらすべてがパァ!)
もし、一般のレンタルサーバに盛り付けられているのであれば、そのサーバの名義人は貴社(貴店舗)になっていますか?
下の図を少しご覧頂けますでしょうか?
こちらで、世の中にあるホームページ制作の主なタイプがお分かりいただけることと思います。
大雑把に言いますと、
あなたのホームページのコンテンツ(内容物)があなたの手に届くところにあるかどうか?
でHPの運命は大きく二分されます。
上の図で言うと、
【Webサーバ】(訪問者がアクセスしてくる場所)が誰の掌中にあるか?
ということになります。
もっと上流のところでは、
「ドメイン」(貴社ホームページの住所)が誰の掌中にあるか?
ということになります。
この点は、
- HPのことはさっぱり分からないし、将来的にも分かるつもりもないから少々費用がかかっても業者に任せるわ!
- 業者のCMSシステムを使えば、知識が無くてもワープロ感覚・ブログ感覚でHPを自分で運営できるからそれ以上は望まないわ!
とお考えのあなたであれば大した問題ではありません。
一方、
- HPのことはさっぱり分からないけれど、将来的には自分で編集したり作成して運営できるようになりたいよ!
- ずっと運営を続けていたいけれど、管理費がバカならないから何とか自分で運営できるようにしたいよ!
- 業者のCMSシステムは簡単に使えるけど、月々の利用料が大変だよ!
- もし、あまり効果がなければ、将来、別の制作業者にリニューアルしてもらうつもりもあるよ!
とお考えのあなたであれば大きな問題になります。
たいていは、ドメインもサーバも自分に所有権があると思われているのではないでしょうか?
しかし、運営・管理を委託されている場合は、どちらも制作会社の名義になっているのが一般的です。
ホームページが好調であれば、これで何の問題もないことでしょう。
しかし、あまりに低調で、他社でリニューアルしようとか、自社で運営・管理しようと決める時が来たら、
- 解約する際に、htmlは引き渡してくれたけどcss(スタイルシート)は引き渡してくれない。
- 解約する際に、html/cssやデータベースを引き渡してもらえたが有償だった。
- 新しいcss(スタイルシート)に合うようにhtmlを変更するのにものすごく手間がかかった。
- 同じオープンソースのCMSシステムのデータベースなのに新しい自分のサーバにインポートしても作動しない。
などの思わぬ問題が次々と発生して来ます。
さらに、一番根っこの問題を挙げておけば、
- もし、制作会社がサービスを終了すれば、すべてがパァになります。
もし、コンテンツだけでも戻って来れば、新たなシステムを利用して再構築は出来ますが、相当な手間を要します。 - 一方、[Webサーバ]が自分の掌中にあれば、サーバ会社が潰れてもシステムごと一式を他社に移設できます。
ということになります。
ですから、いつか自社で運営・管理したいと思われている場合は、
- コンテンツやデータが自由自在にできる手元にあるかどうか?
- コンテンツやデータが解約した時に手元に引き渡してもらえるのかどうか?
- 手元に戻ったとして、新しい自分のwebサーバで復元できるのかどうか?
を、制作を依頼する前に確認されることをお勧めします。
特に、ドメイン込み・管理込みのリース的な契約や月々の利用料金制(CMSシステム)等の場合には、これらを最初に把握して選んでおかないと、後々思惑が違ってガックリとなり兼ねません。
CMSって何やねん?
上記の図をはじめサイト内に「CMS」「動的」「静的」という言葉が度々出てきますので簡単な説明だけしておきましょう。
「CMS」はコンテンツマネージメントシステム(content management system)の略で、ホームページのコンテンツ(内容)をテキストや画像やレイアウト等の各情報にブロック化して、これを統合的に管理し配信していくシステムのことを言います。
そう言われても何のこっちゃ分かりませんね。
簡単に言えば、ブログを思い起こしていただければそのものなのですが、その前に
「CMS」に対抗する言葉は何か?
を考えれば糸口が見つかるかもしれません。
実は、
「CMS」に対抗する言葉としては「従来のホームページ」という言葉しか思い浮かびません。
では、「従来のホームページ」とはどんなものでしょうか?
そもそもホームページとは基本レイアウトと基本デザインを表現したスタイルシート(cascading style sheets:css)及びこれに準じて構成された各ページのhtmlと、これによって呼び出される画像やデータ類によって構成されています。
「従来のホームページ」とは、これら一式をそのままの形で作り込むことで完成したものです。
上図では、タイプ1とタイプ2、即ち「手作りhtml」がこれに相当します。
このタイプでは完全オリジナルのホームページも作れますし(当然、制作会社に依頼することになり、費用は高額)、決められた汎用CSSの下にあるテンプレートで準オリジナルなホームページを廉価で作る(制作会社でも自力制作でも可)こともできます。
ちなみに、当事務所が制作支援するのはタイプ1での後者の汎用テンプレートタイプか、あるいは、後述するオープンソースの動的CMSのワードプレス(WP)を使用するタイプで、且つ、経験値によってベストカスタマイズとベストチューニングを施したものになります。
これに対し「CMS」とは、基本レイアウトと基本デザインを表現したスタイルシート(css)は何種類か組み込まれた中から好きなものを選択し、文章はワープロ感覚で入力し、画像は画像として登録したもの「挿入」感覚で呼び出すことで、htmlの知識がなくともシステムが自動でページを生成しwebサーバに配信をしてくれるものです。
上図では、タイプ3(静的)とタイプ4(動的)がこれに相当します。
一昔前は、タイプ3の静的htmlジェネレータと呼ばれるCMS(MT=Movable Type)でホームページ制作サービスをしている業者さんも多かったのですが、近年では、ほとんどがタイプ4のワードプレス(WP)での制作サービスとなっています。
では、「静的」と「動的」の違いは、
- 静的:生成されたhtmlはwebサーバ上に常時格納されています。
- 動的:閲覧者のリクエストがあった時(URLがクリックされた時)だけ、そのページに必要な情報をデータベースから呼び出し瞬時にページを生成し、閲覧が終わると消滅します。
即ち、ページはWebサーバ上に常時格納されているわけではなく、必要に応じて都度生成されるということになります。(拡張子もhtmlではなくphp)
「従来のホームページ」も、こちらになります。
作業的に見ると、「従来のホームページ」は人手で作成したhtmlを人手でアップロードしますが、CMSではブラウザ上で人がワープロ感覚で入力した記事をシステムが自動的にhtmlにしてアップロードします。
作業的に見ると、こちらはCMSでしか実現できず、ブラウザ上で人がワープロ感覚で入力した記事をシステムがデータベースに格納し、閲覧リクエストがあった時だけデータベースから呼び出してphpとして表示します。
一般的に「ブログ」と呼ばれているものは、「動的」な「CMS」によって作成されています。
また、あなたが最も魅かれるであろう「ブラウザから誰でも簡単にワープロ感覚でHPが作れます!」と謳ってある場合は、制作会社のCMSシステム(独自もあればオープンソース利用もあり)を利用するタイプになります。
さて、上図の最下部にある2つのタイプは、制作業者のCMSを利用するのではなく、オープンソースで公開されている有名なCMSプログラムのWord Press(WP)やMovable Type(MT)などのプログラムを自分のサーバに設置して自分でホームページを作る方式です。
ある程度の知識やHPへの慣れがあれば、「業者さんに頼らないで自分でやっちゃいまーす」という「CMS」のDIYと言えばいいでしょうか?
全くの初心者さんが自分で導入する場合はチンプンカンプンで何をすればよいのかすらも分からないかもしれませんが、導入さえしてもらえれば、ページを作ることはブログ感覚で出来ますし、データベースも自分の掌中にありますから、タイプ1,2でもオプションとしてサービスに加えている制作会社も多いようです。(当事務所の制作支援でもオプション)
ご参考までに、静的CMSの代表的なものでは、MovableType、NOREN、WebRelease等があり、動的CMSの代表的なものでは、WordPress、HeartCore、SITE PUBLISなどがあります。
最後に、あまり注意書きされることもないので、次のことを覚えておかれると意外にホームページの構成作りのお役に立つかもしれませんので記しておきます。
※「CMS」はなにもサイト全体に利用しなければならないことはなく、一つのフォルダーだけに適用することもできます。
(ブログ用としてのフォルダーを作って、そこだけWPで動かすとか・・・)
従来のホームページとCMSのメリット・デメリット
CMS:コンテンツマネージメントシステム(content management system)の概略を理解していただけましたでしょうか?
でもやっぱり、「それで結局どれが優れているの?」状態ですよね?
従来のホームページとCMSのメリット・デメリットはどのようなものか?
やはり、ここまでを理解しておかなければ選定の判断には届きませんですね。
■従来のホームページとCMSのメリット・デメリットを表にまとめてみました!
項目 | 従来のホームページ | CMS |
---|---|---|
システムの導入 | 不要 | 自社でオープンソースCMSを導入することができるが、初心者にはやや難しい。 制作会社のCMSを利用する場合は、導入の必要はない。 |
システムの費用 | 不要 | 制作会社のCMSを利用する場合は、初期費用を取る場合と取らない場合の2種+月々の利用料金:無料~中値(長期になれば高額になる) オープンソース動的CMSのWPの場合は完全無料 |
ページ制作の手間 (制作会社) |
html/cssの知識が必要で手間がかかる | ワープロ感覚・ブログ感覚で簡単 CMSシステムの利用契約につき制作会社は制作まではしないが、依頼すれば最初の制作はしてくれる会社もあり。(有償) |
ページ制作の費用 | 完全オリジナル制作は高額 テンプレートでの制作は廉価~中値 |
無料 ブラウザ上からシステムを利用してデザインを選びながら最初から自分で作る。 |
ページ編集・追加・更新 | htmlの知識が必要で手間がかかる 制作会社に依頼することもできる(有償) |
ワープロ感覚・ブログ感覚で簡単 自分でやらなければならない |
ページ制作の自由度 | html知識のみレベルでも高い CSS知識があれば更に高い |
与えられたシステムに制約される 決められたバラエティの範囲内 |
サイドバー | ページごとに自由自在に変えれる | 全ページ同一となる |
ページのアップロード | 必要(FTP) 他に、RSS出力・ping送信も必要 手間という捉え方もありますが、HPを運営している実感も充実感もここにあります |
不要(ブラウザ上で投稿) RSS出力・ping送信もシステムが自動で行う |
SEO | 正しく美しいhtmlで書かれていればピン 汚いhtmlなら手作りでもキリ |
良いCMSでも正しく美しい手作りhtmlには敵わない 汚いhtmlを生成するCMSならキリ |
HPへのスキル | 常識レベルは身につきます。 その気になれば中級~上級レベルの可能性。 |
ワープロ感覚で利用するだけですから身につきません |
バックアップ |
不要 不要 |
制作会社が定期的にバックアップ 定期的にバックアップが必要 |
コンテンツ・データの移管 |
移管可否と費用は契約による 自由自在 移設・移管作業は簡単 |
不可(利用し続けるしかない) 移管可否と費用は契約による データベースの移設・移管が慣れない内は難しく、様々なトラブルが付き物 |
サーバ負荷 | 小さい | 動的CMSは大きい 静的CMSは小さい |
セキュリティ | 安全 | 穴があるが、随分と改善されている。中小零細業者が運営する程度ではほぼ問題無し。 |
信頼度 | 高い | WPはかなり高い |
結局、いずれの場合でも一長一短あるということであり、考え方によって一長一短が逆に捉えられるような項目もあります。
どんどん情報を発信していきたい場合には簡単にページができることが長所のCMSはメリットがあり、利用料金の元も取れるでしょう。
一方、体をなすホームページさえ作ってもらえれば、あとは時々追加・更新する程度という場合は、簡単とはいえ自分で最初から作り込まねばならず、ほとんど置いておくだけで利用料金を払わねばならない制作業者独自のCMSにメリットがあるとは言えません。
どちらが良いのかということは、ひとえに貴社の「何が一番大事か?」の考え方によります。
では、タイプを選ぶ指針としてキモを書き出しておきますと、
- 強いSEOが意識されているか?
- 意識された美しい手作りのhtml/cssがベストですが、意識されたhtmlを生成するCMSならば次いで優秀
- SEOを意識しない「作ったらいいわ」の汚い手作りのhtml/cssならば、手作りと言えども汚いhtmlを生成するCMSとワーストの背比べ
- HPへのスキルをアップして自由自在に運営できるようにしたいか?
- はい、そうしたい → 従来のホームページタイプあるいはオープンソースCMSのWPを利用する
- いやいや、ブログのように発信さえできればいい → 制作業者独自CMSタイプでも可
- はい。でもブログ的に誰でも発信できる機能もほしい → 従来のホームページタイプにオープンソースCMSも組込む
- 費用面はトータルで考えているか?
- 手作りのhtml/cssの納品は制作費用のみだが、制作業者独自CMSは(初期費用)+月々のシステム利用料
- 手作りのhtml/cssの追加・修正・更新は自社でやれば無料で無制限にできるが、依頼すれば相応の費用が発生
- 手作りのhtml/cssでは、「オンリーワン」デザインや見てくれのデザイン・奇抜さにお金をかけるか、SEO・ユーザビリティにお金をかけるかの間の選択。
- 制作業者独自CMSでは最初からページ制作・追加・修正・更新は自社でやらねばならないが(費用出せばやってくれます)無制限にできる
- 解約して自社のwebサーバで運営を予定する場合、コンテンツ・データの引き渡しが可能かどうか?可能な場合、有償か無償かを考慮
- コンテンツ・データの所有権は?
- ドメイン・Webサーバが最終的に貴社の管理下にある場合は問題無し。(静的手作りhtml及びWPの場合のみ)
- ドメイン・Webサーバが制作会社の管理下にある場合(多くは管理・運営込契約)は解約後のhtmlとcssの所有権について契約時に確認すべし。(静的の場合)
- ドメイン・Webサーバが制作会社の管理下にある場合(制作会社独自の動的CMS)は解約後はデータベースを引き渡してもらっても再現はできない。
- ドメイン・Webサーバが制作会社の管理下にある場合(オープンソースの動的CMS)は解約後の所有権について確認すべし。データベースを引き渡してもらえれば再現は可。
如何でしょうか?
少しは、ホームページ制作依頼する上での判断のご参考になりましたでしょうか?
そして、タイプを絞られた後にぶつかる問題はやっぱり、
結局は「優れた業者か?劣った業者か?」という判断で、それも「使ってみないと分からない」
というところが正直な話での行き着く先だと思います。
ちなみに、当事務所が制作支援させていただくタイプは、
- タイプ1で意識された美しい手作りのhtml/cssテンプレートを使い、さらにベストカスタマイズ及びベストチューニングをした静的HP。
- 現在の主流である動的CMSのワードプレスを体験していただき、サーバの設定あるいはテンプレート付きデータベースでのご提供。
となっておりますので、
- いずれも、HPページへのスキルアップができる格好の素材ともなります。
(html/css実用使い方マニュアル付) - 制作会社のCMS利用タイプで1年間利用する平均的費用よりも安い費用で永久に貴社のサーバ内で管理できる財産としていただけます。
- 従って、コンテンツ・データの所有権に関する心配は一切ありません。(当然、ドメインやレンタルサーバの契約は貴社で行っていただきます)
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