さらば 燃えない脂肪の憂鬱 第2章:エネルギー代謝 | 6

エネルギー源として使われる順序?

ここからは、次章の【栄養代謝】とも密接に関連してきますが、よく、ダイエット書やWebサイトでは、エネルギーが使われる順序として、

  1. まず始めに筋肉に蓄えられたグリコーゲン(ブドウ糖)が使われる
  2. 次に、血液中のグルコース・脂肪酸が使われる
  3. 最後に、必要に応じて体内に蓄積された中性脂肪の分解でできた脂肪酸が使われる

といった表現が非常に多く見られます。

ある意味正しいと言えば正しいのですが、あたかも通常時には脂肪が使われていないかのようにも受け取れ、誤解を与える可能性も大きいのではないかと思います。

先ほどの流れ図の③ 好気性代謝系において、特筆すべきこととして、ミトコンドリア内でアセチルCoAを合成するために「脂肪」が参加していることを述べました。

さて、私たちの日常生活は100m走をしているわけでもなくランニングしているわけではありません。
ですから、日常生活のほとんどの活動エネルギーは③ 好気性代謝系によって賄われているわけです。

すなわち、脂肪は糖質と同じく、常時エネルギーの糧として使われているわけです。
ただ、「血中の糖質と脂質が先に使われる」というように理解しておかねばなりません。

すなわち、何らかの活動をする場合、最も早く供給してくれるところ、あるいは手近なところからエネルギーをもらうと考えれば最も正しい理解になるでしょう。

筋肉にしてみれば、

  1. 最も手近にある筋肉内に蓄えられたグリコーゲンを使う
  2. 次に、血液中のグルコースあるいは脂肪を使う
  3. 最後に、脂肪細胞に蓄積された中性脂肪を使う

ですから、脂肪細胞に貯蔵された中性脂肪は必要に迫られなければ使われるに至らない。
それが概ね正しい理解ですね。

要するに、一定量のエネルギーを消費しない限り中性脂肪はなかなか使われないまま。

ここではっきり見えてくることがあります。
「運動は食前にするのが効率的か?食後が効率的か?」
中性脂肪を燃やしたいあなたなら、もう自ずと答えはお分かりですよね。

中性脂肪の蓄えを使い出すレベルに至るまでの一定量のエネルギーを消費するということが、一般的なダイエットで叫ばれている「有酸素運動をしよう!」というお題目に集約されていることに関してもこういう背景があるわけです。

日常の生活活動は、そのほとんどが有酸素エネルギーに拠っているわけですから、逆に言えば、中性脂肪をいつまでも非常用として蓄えておけるレベル、脂肪動員が必要のないレベルにしかエネルギーを消費していないほど私たちは不活発だということなんですね。

逆に言えば、非常用としての中性脂肪をここまで蓄え続けるほど食べ過ぎたとも言えますし、生活活動レベルに比して随分と余分な食生活をしてきているとも言えます。
現実としては、むしろ、こちらの表現の方が的確だと著者は考えています。

だから、エネルギー消費側から見れば、特別にエネルギー消費活動時間を別途取らなければならないということになってしまっているわけですね。

勘違いしてはいけないのは、第2章|4でも述べたように、活動の強度が上がったからといって、全てが無酸素消費になるわけではなく、有酸素消費機構は常に動き続けているということも忘れてはいけません。

また、生成された乳酸菌は、運動の続行を阻害し「しんどさ」の元凶となるものですが、最終的には、筋肉で再びピルビン酸に戻ってエネルギー源として再利用されたり、肝臓へと送られ糖新生の材料として使われるというありがたい代物でもあるのですね。

閑話休題;運動をするタイミング?-NEATとともに-

さて、糖質が血中に充足しているかどうかは「血糖値」で判断できることはご存知ですね。
満腹時、あるいは、静止時では、「血糖値」は上がっている状態です。
空腹時、あるいは、運動時では、「血糖値」は下がった状態です。

このことと、「エネルギーには使われる順序がある」ことを併せて考えていただければ、まず「運動するの何時がいいか?」ということへの答えが出てきそうに思いますね。

エネルギーは血中にある栄養分から先に使われますから、栄養分が溢れている満腹状態で運動しても、血中の栄養が使われるばかりで、貯蔵してある中性脂肪を使ってくれるまでには至らないということになりそうです。

貯蔵してある中性脂肪を使って欲しいのですから、すぐに、中性脂肪にアクセスしてくれる状態、すなわち、空腹時に運動するということが効果的であることは確かそうです。

世に出ているダイエット指南もたいてい、「食事前に運動はすべき」とか「朝食前の運動が最適」とアドバイスしてることでしょう。

論文でも、【異なる運動実施時刻が脂肪燃焼に与える影響】 川崎医療福祉学会誌では、朝食前の運動が朝食後や昼食後運動よりも脂肪をたくさん燃焼させるデータが示されています。(オープンアクセスですからpdfでもご覧いただけます。)

ダイエットに効果的な運動のタイミング

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縦軸のRQという値は、呼吸商と呼ばれる指標で、酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の数値です。

脂肪は糖質よりもRQ値が低いですので、数値が低いことが脂肪燃焼が多かったことを表します。

はっきり朝食前空腹時の運動が脂肪燃焼に効果的である結果が出ています。

理論的には当たり前のことですが、果たしてそれだけでいいのでしょうか?
腹ごしらえしてから運動というのは愚の骨頂なのでしょうか?

著者は、「チャカマキタリセヨ(ちょっと待って!)」と感じるのです。
間違っているとは思いませんが、大きな落とし穴があると感じるのです。
はたして、そう感じさせたのは何なのでしょうか?

  • 朝食前に運動しました。
  • 帰ってきて朝食をたらふく食べました。
  • そして、洗濯をしてママ友とダべリングしていたらお昼。
  • 昼食は邪魔くさいのでインスタントラーメンにしました。
  • それからゲームをした後ゴロ寝していると、子どもが帰ってきたので一緒におやつを食べて、近所にお惣菜を買いに行って夕食の準備を済ませました。

これで効果があると思われますでしょうか?

朝食前に運動して、きっと貯蔵していた脂肪が動員をかけられて燃えたかもしれません。
しかし、その後口にした栄養は、エネルギーとして全て使って貰えるのでしょうか?
ここが問題です。

せっかく一定脂肪が消費されたのに、後の分がまた貯蔵に回されるのではないですか?
「20分以上の運動は必要か?」の命題と同じように、このような生活であれば、朝食後に運動していたのを朝食前に変えたとて、結局同じではないですか。

「朝食前に運動したら痩せるって言われたのに痩せない!」なる愚痴の正体はここです。

データとしては確かに正しく科学的ですね。
空腹で運動したときと満腹で運動したときに脂肪燃焼に差が出るのは当たり前に予想できます。
無いところからエネルギー源を得ることはできないのですから・・。

ですから、そもそも食事と食事の間にいつでもめまぐるしく活動している人にとっては、運動するタイミングなんてこと自体を考えることもないでしょう。

食後に運動して、今摂ったばかりの栄養が余ったとて、次の食事までの間の活動ですぐに使い尽くすでしょうから、貯蔵した中性脂肪に手を付けざるを得ませんね・・。

このタイプの人が、食事前の運動に切り替えて食事も同じ量でまかなうのであれば、さらにスリムになってくることでしょう。

しかし、ダイエットを悩んでいる人に限っては、そんな問題が本質なのではないということになってしまうところがあります。
大切なのは、普段にはしていない「運動を付加する」ということであって、食事前に運動したからより効果があるはずと考える段階以前の問題が横たわっているのですね。

ここまで展開すると、テレビでやってた、あるいは本に書いてあったダイエット手法やシェイプアップ手法を、何の知識も脈絡もなしに単発的に始めること自体が虚しく思えてきませんか?

もし、朝食前の運動に切り替えられたのであれば、その後の食事で摂ったエネルギーが全て使われるように活動せねば何の意味もなさないということになります。

  • 正味、こまめに動くこと
  • 必要以上に食べないこと

結局、行き着く先はそれだけのことなのです。
こまめに動いてすら食事とセットで考えなければならないというところがキモなのです。

今、この二つをさせないようにさせないようにする環境は磐石だという現実の前に、ダイエット産業は発展を続けていると言えるでしょう。

ミズーリ大学コロンビア校Marc T. Hamilton博士達が提唱した「非運動系熱産生;NEAT(Non Exercise Thermogenesis)」は、要するに「こまめに動くこと」なんですね。

【参考文献】

Role of Low Energy Expenditure and Sitting in Obesity, Metabolic Syndrome, Type 2 Diabetes, and Cardiovascular Disease
Marc T. Hamilton, Deborah G. Hamilton and Theodore W. Zderic

ですから、ダイエットやシェイプアップの初心者の方は、「運動せねば」と強迫観念に追い立てられて運動するのでなく、「エレベータでなく階段にしよう」「ダラダラ歩かず、せっせと歩こう」的な度合いを増やしていくことから始めるのが最善と言えるのです。

言えば、生活の様々なシーンで1mmを積み重ねれば1mになっちゃっているということ。
それが一番大切なことだと心から注意を払わなければ、星の数ほどある枝葉のダイエット手法も全て無に帰します。

但し、それ以前あるいはそれと並行して、食欲をコントロールできるような習慣を身に付けることが絶対条件となります。

いくら運動しようが、ダイエット・サプリを飲もうが、この要素を抜かしてダイエットやシェイプアップの成功は絶対にあり得ません。

ダイエットやシェイプアップの指南書で真に良書と評価されるものは、必ずこのことを訴求している筈です。

ただ、そんな真実を訴求すれば、ダイエット産業・加工食品産業自体のマスが縮小してしまうから、多くは好き好んで訴求はしないわけです。

本講座は、引き締まった美しい体を作るシェイプアップ(一般的に「ダイエット」と呼ばれているもの)に関する正しい理論と手法を、誰にでも分かりやすく紐解くことを目的としています。

ご存知の方は少ないかもしれないWとB(読まれていく内に正体を現します)にスポットを当て、世にある多くのダイエット手法とは代謝的に全く別の根拠によるアプローチをご紹介しますが、ダイエットの本道は【過剰にならない一定の糖質をジャストインタイムで摂取する】ということ以上でも以下でもないということをバラシておきましょう。

誰にでも理解しやすいようにまとめてはいますが、一方で、医学系・看護系の大学新入生レベルには今後の勉強の基本予習・イメージ作りとしても有益ではないかと思います。

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■ご提供内容

  1. 【保存版】代謝とダイエット~さらば燃えない脂肪の憂鬱~ PDF180ページ
  2. 資料1:肥満指標と基礎代謝 PDF7ページ
  3. 資料2:必要エネルギー・摂取エネルギー PDF3ページ
  4. 美姿・美脚になれる!!バレリーナこれだけレシピ PDF76ページ
    後半32ページは1.の第4章と同じ
  5. スペシャル特典:刺繍・和風デザイン スタンプ(透過png画像、及び、LINEで使っても透過する透過gif画像:320×320)| 文字付:44点、文字無し:47点
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もう一つの知られざる世界!

理に適ったサプリでも、まず即効的な効果は期待できません。

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当社が家電販売、特に施主支給家電で一世を風靡した時、卸元の担当者が「ニーズがあるから、その署品は存在する」とはよく言ったものです。

なるほど、便のお漏らしを気にせねばならず、片やお薬への依存性が発生しますから、よほど病的なメタボリックでない限りおすすめすることは出来ない肥満治療薬ですが、世の中のご立派なクリニックは平気で、それほどでもない肥満程度の患者にも使っているようです。

ある意味、新型コロナの非常事態宣言で、あまり外出できない今こそ、臆病だった方には、試してみる唯一のチャンスかもしれませんね。

先発薬はさすがにお高いですが、ジェネリックも数種ありますので、自己責任覚悟で入手されるなら参考にされてください。