さらば 燃えない脂肪の憂鬱 第2章:エネルギー代謝 | 4

ATP(アデノシン三リン酸)って何やねん?

さて、このATPは筋肉繊維や内臓に存在し、第2章|3でお話したプロセスによって筋肉収縮エネルギーとして活躍しますが、その量はそれほど多くはありません。

最大筋収縮を約2~3秒間も維持すれば消失してしまうレベルです。
今あるATPだけでは15mほども全速力で走れば切れてしまう程度しかないのですね。

Wikipediaによれば、「哺乳類の骨格筋100gあたり 0.4 g 程度存在する」とあります。
(その根拠は未確認。この反応の自由エネルギー変化量と運動消費エネルギーから逆算すれば、数値の妥当性は判断できるでしょうが・・)

極めて少量のATPを次々と使っていては、すぐに欠乏してきますから、エネルギーを使い続けるためには常に再合成され続けなければならないという宿命にあります。

そのATPの合成には3つのルートがあることを知っておいてほしいのです。
巷でよく言われる「有酸素運動」「無酸素運動」の違いこそ、このルートの違いに他なりません。

ですから、この部分を理解していないと、「有酸素運動」「無酸素運動」を誤解してしまうことになり兼ねません。

3つのルートとは、

  1. ATP-CP代謝系(リン酸代謝)
  2. 解糖-乳酸代謝系
  3. 好気性代謝系(酸化的リン酸化代謝)

の3つであり、全てそれぞれの器官の細胞内で行われます。

各ルートの説明の後にまとめたフロー図で一挙に整理がつくはずですから頑張って下さい。

① ATP-CP代謝系(リン酸代謝)

ATP合成酵素の働きによって、筋繊維や内臓筋に存在するCP(クレアチンリン酸)を使って、ADPからATPを再合成するルートがあります。
これを、「ATP-CP系」と呼びます。

ATP-CP系(リン酸代謝)フロー図

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右の図のように、ADPがCPからP(リン)を貰ってはATPになり、ATPは再びPを放出してエネルギーを供給してはADPに戻るサイクルを繰り返すわけです。

まさに、Pこそが通貨ですね。

CPから通貨Pをもらって、ADPはATPになり、ATPは通貨Pを支払ってADPに逆戻りする。
その代りに、エネルギーという対価を得ています。

しかし、CPの量にも限りがあります(その量はATPの約2~4倍程度)ので、この循環サイクルで最大筋収縮エネルギーを得ることができるのは、せいぜい8~10秒間と言われていますが、ハイパワーが得られます。

そうですね、100m走などのように、短時間で最大筋力を一気に使う場合、すなわち、急速に大きなエネルギーが要請される場合に、この代謝系が使われることになります。

このサイクルには酸素が必要ありません。
それ故、後述する好気性代謝系のエネルギー産生と比して、無酸素機構と呼ばれます。

② 解糖-乳酸代謝系

筋肉内の細胞には、糖質(グルコース)がグリコーゲンとして貯蔵されています。
このグリコーゲンを再びグルコースに分解し、ピルビン酸になる際にATPを生成します。

このステップは一般的には【解糖系】と呼ばれますが、厳密には【解糖系】の第1ステップと言うべきものです。
このステップでも酸素は必要なく無酸素機構となります。

ピルビン酸は、早急にエネルギーが必要な場合や酸素が十分供給されない状況下では、そのほとんどは乳酸に変換され、細胞間質や血液に拡散してしまいます。

すなわち、解糖系は早急に必要なエネルギーを、ATPを生成して供給したあと、乳酸となって体に拡散していくわけですね。(乳酸は疲労物質と言われます。)
よく、疲れたときに「乳酸が溜まった」などと会話で使われるのは、この解糖-乳酸系の第1ステップを表現しているわけですね。

このステップで最大筋収縮エネルギーを得ることができるのは、ミドルパワーとして60~90秒間と言われています。

③ 好気性代謝系(酸化的リン酸化代謝)

②の解糖-乳酸系の延長上にあり、解糖系の第2ステップとも言えます。

十分な酸素が供給されている場合、早急なエネルギーを要請されない限り、解糖-乳酸系の第1ステップで産生されたピルビン酸は、ミトコンドリア内に入りクエン酸回路(TCA回路)で酸素と反応して大量のATPを生成します。

即ち、このステップは酸素が必要となる有酸素機構になります。

このステップは、酸素の供給速度に依存しますから、ゆっくり、すなわちローパワーですが、継続的にエネルギーが供給されます。

■ATPエネルギー代謝3つのルートのフロー図

各組織の細胞内で行われる以上のエネルギー産生をフロー図でまとめてみましょう。

ATPエネルギー代謝3つのルート流れ図

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① ATP-CP系(リン酸代謝)以外は、次章で述べます「糖質代謝」そのものの中に組み込まれますので、次章に進まれた折には、お互いに対照しながら読み進めてください。

上記のATPエネルギー代謝3つのルートのフロー図を、少し補足事項を含めながらまとめておきましょう。

  • ③の好気性代謝系への流れが、日常生活でのエネルギー消費の本流。(有酸素消費)
  • 少し活動の強度が上がると、ミトコンドリア行きに乗っていたピルビン酸の一部がそれをやめて、乳酸になる道を選ぶ。
    (② 解糖-乳酸代謝系;無酸素消費の参加)
  • さらに強度が上がると、ピルビン酸はミトコンドリアに入っていたのでは供給スピードが追いつかないため、② 解糖-乳酸代謝系が盛んに使われるとともに、① ATP-CP代謝系も参加する。(② 解糖-乳酸代謝系の活発化;① ATP-CP代謝系の参加)
    当然ながら、乳酸がどんどん生成される。
  • と言っても、③の好気性代謝系への流れは常に作動している。(有酸素消費)

そして、もう一つ特筆すべきは、
③の好気性代謝系への流れでは、解糖プロセス以外に、遊離脂肪酸からのルートが参加しているという点です。

このルートこそが、「脂肪燃焼」のルートなんですね。
と言うか、エネルギー消費において「脂肪」はここでしか参加していないのです。

所謂【ダイエット】において、【有酸素運動】が推奨されるのは、ここに理由があります。
『いくら激しい運動をしても「脂肪」は参加してくれないんだよ!』ということですね。

しかし、このことも大筋は正しいと言えますが、エネルギー収支全体として見た場合に何も寄与しないとあまりに短絡的に考えることも賢明ではありません。
この辺りは、講座全体を通して問題提起されていきますのでお楽しみに…!

如何でしょうか?
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