さらば 燃えない脂肪の憂鬱 第2章:エネルギー代謝 | 8
基礎代謝と安静時代謝のエネルギー消費
いよいよ、私たちの身体に纏わる実際のエネルギーとしての基礎代謝に話を進めましょう。
基礎代謝と安静時代謝に関しては、別途「資料」にまとめていますので、ここで資料の方のご一読をいただいた後、以降を読み進めてください。
まず、基礎代謝と安静時代謝は違うものであることを知っておきましょう。
素人がまとめているWebサイトなどでは、データ的にも混同して使われていることも多いようです。
資料と重複しますが、下記に転記しておきます。
②基礎代謝(basal metabolic rate;BMR)
人が生命活動を維持するための生体活動に費やす1日あたりの最低限のエネルギー量。
個々人の体格に依存し、体表面積に比例すると言われています。
総エネルギー消費量TEE の約60%を占める。
測定は、
・約12時間以上の絶食=下記の食餌誘発性体熱産生DIT は含まれない
・正常体温、安静仰臥位、筋の緊張を最小限にした状態
・快適な室温で(体温維持不要)、心身ともにストレスの少ない覚醒状態
という条件下で行われる。
安静時代謝とは、食餌誘発性体熱産生DIT を含まない点で決定的に違います。
③安静時代謝(resting energy expenditure;REE)
人が安静にしている際に費やす1日あたりのエネルギー量。
測定は、
・絶食はない=下記の食餌誘発性体熱産生DIT の一部が含まれる
・安静仰臥位
・環境・心身のストレスは管理しない(体温維持やストレスの影響が含まれる)
という条件下で行われる。
すなわち、基礎代謝量測定より管理条件が緩く、より日常生活の平静時に近い。
当然、基礎代謝量BMR より多く、約1.2倍と言われています。
私たちが1日に消費する総エネルギーを、基礎代謝と食餌誘発体熱産生と身体活動代謝の比率で見ると、平均的には下記グラフのような割合となります。
私たちが消費するエネルギーの約6割は基礎代謝で使われており、従って約7割が安静時代謝(食餌誘発性体熱産生DITの一部を含む)で使われていると考えてよいでしょう。
実に、私たちの体は見えないところで黙々と仕事をしている様が浮かび上がります。
これを見ると、生活活動で使うエネルギー消費は全体の中では大したものではないですね。
さて、肥満に悩む私たちにできることは何でしょうか?
言わずもがな、それでも、全体の中では大したものではない約3割の身体活動代謝に相当するエネルギー消費を少しでも大きくしてやることですね。
それだけでしょうか?
毎日それほど変わることなく固定的に消費され、全体の約7割をも占める安静時代謝、あるいは基礎代謝に対しては何も打つ手がないのでしょうか?
否。
基礎代謝は、「個々人の体格に依存し、体表面積に比例する」とありましたね。
著者は、「体表面積」という言葉は相関性があるとは考えますが、条件付で使う方がよい言葉ではないかと感じており、むしろ体の作り(フレームの剛性)という風に理解しています。
体の剛性を上げれば基礎代謝は上がる!
今よりしっかりした体、今より引き締まった体は、当然それを維持するために、現状のフニャフニャした体よりは維持費が高くなってくるはずです。
すなわち、当然、基礎代謝あるいは安静時代謝を上げ得る可能性そのものを示唆します。
ダイエット一般において、基礎代謝を上げることの重要性が叫ばれるのは、こういう事情があるからなんです。
ですから、日常生活の身体活動を増やしエネルギー消費を上げる際に、今よりしっかりした体作り、今より引き締まった体作りを意識した活動を行うことで、単に目先のエネルギー消費を増やすだけでなく、中長期的には基礎代謝も相乗効果で上がってくるということになります。
逆向きに言えば、今のあなたの基礎代謝あるいは安静時代謝は今までのあなたの身体活動に釣り合ったレベルなんだという風にも言い換えることができます。
それでも、エネルギー消費を増やすには努力が伴うからイヤだと、安易に「ダイエット=食事制限」すなわち、エネルギー摂取量を落とすことに飛びついてしまいそうなら、通俗のダイエットノウハウを読むよりも下記のような文献・論文を読んでください。
和洋女子大学 高橋亜矢子 氏 宮川 豊美 氏 CiNii 論文PDF – オープンアクセス
除脂肪体重(体重-脂肪量)が体脂肪量に次いで体脂肪率よりも基礎代謝と強い相関関係にあることが報告されています。
脂肪量が少なくて体重が重い(すなわちガッシリしている)と基礎代謝が大きいということですから、先ほど著者が結論した「体の剛性を上げれば基礎代謝は上がる!」を証明していると言ってもいいですね。
今までもこれからも何度も述べるように、逆に、絶食や食事制限をして「体重が減った!」と喜んでいても、実は体脂肪は減らずに筋肉だけがやせ細って体重が落ちているだけですから、「体重-脂肪量」の式から明らかなように、除脂肪体重が減ることになり、すなわち、基礎代謝も減るという負のスパイラルの入り口に立ってしまうんです。
エネルギー摂取を減らして体重を落とすつもりが、基礎代謝という重要なウェイトを占めるエネルギー消費量を知らぬ間に落としてしまっている。
このツケは大きいということです。
この点は、くどいほど繰り返しておきましょう。
食事制限オンリーでは、下手すれば、食事で減らした摂取エネルギー量以上に基礎代謝が減ってしまって、反って【摂取エネルギー>消費エネルギー】の落差を拡げ、脂肪が付いてしまうという結果に結びつくのがオチです。
いつまでも食べないわけにはいきませんし、何より空腹に我慢ができなくなりますから、筋肉を犠牲にして落ちた体重も、基礎代謝が落ちたために、反ってエネルギー収支が以前にも増して摂取過多となり、脂肪が蓄積され始めリバウンドするという結果になります。
再び、絶食や食事制限をすると、ますます筋肉は削げ落ち、脂肪が蓄積される一方の悪循環でほとんど病気状態にまで達してしまいます。
これが、まだ本当に肥満で悩んでいる人なら心情的にも理解できるのですが、それほど必要とも思えないレベルで、こういったことをされるなら、それは進んで病気になりにいくようなものです。
摂取エネルギーを減らしても、消費エネルギーが最も土台の部分である基礎代謝から減っていくのですから、何をやっていることか分からないということになるのです。
人間が消費しているエネルギーは基礎代謝の方が多いのです。
基礎代謝が落ちるということの影響は想像以上に大きいのですね。
もう一つ、安静時代謝における、各器官の代謝量を各器官の計測質量から計算した論文によると、安静時代謝量の各組織の比率は、
①脳 ・・・約20%
②骨格筋 ・・・約22%
③内臓 ・・・約38%
(肝臓・・・約21% 心臓・・・約9% 腎臓・・・約8%)
④脂肪細胞・その他 ・・・20%
とあります。
実に3分の1以上が内臓に投入されていますね。
内臓が黙々と働いている様子が伺えますし、中でも肝臓の働きぶりが目に付きます。
次いで、骨格筋と脳にそれぞれ約5分の1ずつが投入されています。
私たちが消費する全エネルギーの内約7割は、生命を維持するために、このような配分でせっせと働いていたということですね。
[出典文献]
Dympna Gallagher, Daniel Belmonte, Paul Deurenberg, Zimian Wang, NormanKrasnow, F. Xavier Pi-Sunyer and Steven B. Heymsfield Am J Physiol Endocrinol Metab 275:E249-E258, 1998.
身体活動30%を少し増やす努力をするよりも、60%の基礎代謝を落とさないようにすることの方が数字的には簡単に見えますが、実は繋がっているのですね。
安静時代謝量の各組織の比率を見ていただいても分かるように、私たちにできることは、結局は【筋肉の基礎代謝を上げる=筋肉を働かせる】ということににしか道はないのですね。
筋肉の代謝を上げると言えばハードなトレーニングと勘違いする人も居られますが、スポーツ選手でもあるまいし、これからシェイプアップに励もうという方は、最初からそんなことまでする必要はないことだけ先に申し上げておきましょう。
感のよい人は『遅筋を働かせればいいんだ』と悟られることでしょう。
もっと言えば、もっと普通に活動的になるだけでいいのです。
それだけで随分と違ってきます。
あまりにも楽をし過ぎてきたから、締りの無い体になってしまったということです。
文献からは、除脂肪体重が筋肉量と強い相関があると思われますが、便宜上は、除脂肪体重を体脂肪率と置き換えても、かなり強い相関があると考えておくことで充分でしょう。
体脂肪率が高い=相対的に筋肉量が少ない=基礎代謝が低い
体脂肪率が高い理由は、生活活動代謝が少ない(運動量が少ない)ため、身体活動代謝はもとより土台の基礎代謝も低くなっていることにあります。
一旦太るということは、太りやすい体質を自分で作ってしまうということ。
エネルギー消費を改善しなければ、いとも簡単に負のスパイラルに陥ってしまうのです!
本講座は、引き締まった美しい体を作るシェイプアップ(一般的に「ダイエット」と呼ばれているもの)に関する正しい理論と手法を、誰にでも分かりやすく紐解くことを目的としています。
ご存知の方は少ないかもしれないWとB(読まれていく内に正体を現します)にスポットを当て、世にある多くのダイエット手法とは代謝的に全く別の根拠によるアプローチをご紹介しますが、ダイエットの本道は【過剰にならない一定の糖質をジャストインタイムで摂取する】ということ以上でも以下でもないということをバラシておきましょう。
誰にでも理解しやすいようにまとめてはいますが、一方で、医学系・看護系の大学新入生レベルには今後の勉強の基本予習・イメージ作りとしても有益ではないかと思います。
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■ご提供内容
- 【保存版】代謝とダイエット~さらば燃えない脂肪の憂鬱~ PDF180ページ
- 資料1:肥満指標と基礎代謝 PDF7ページ
- 資料2:必要エネルギー・摂取エネルギー PDF3ページ
- 美姿・美脚になれる!!バレリーナこれだけレシピ PDF76ページ
後半32ページは1.の第4章と同じ - スペシャル特典:刺繍・和風デザイン スタンプ(透過png画像、及び、LINEで使っても透過する透過gif画像:320×320)| 文字付:44点、文字無し:47点
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