フェルラ酸と化粧品~その効果と未来~
ベルマン化粧品では、美容液ビラールゲルに替わってツーウェイの美容液ポルトゥール エッセンス(Porteru Essence)が2011年12月15日より新発売されます。
ポルトゥール エッセンスでは有用成分の一つとしてフェルラ酸(Furulic Acid)を採用しております。
ベルマン社では、このフェルラ酸には活性酸素除去作用及び長波紫外線吸収作用という効能が注目されていることを見据えて商品化したのですが、すでにモニターによる臨床テストにより、有意な効果が現れたということでの販売開始となりました。
本ページの主意は、まさに、これを機にフェルラ酸(Furulic Acid)をよく知ろうということにあります。
さて、人の細胞はレシチンなるリン脂質でできた細胞膜で囲まれていましたね。
(リポソームと化粧品~その効果と未来~ 参照)
ところが、植物の細胞は動物の細胞とは違って、細胞膜のさらに外側に細胞壁(cell wall) が発達しているようですね。
フェルラ酸(Furulic Acid)は、植物の中でも特にイネ科植物の細胞壁に多く存在するポリフェノール(polyphenol) で、ケイ皮酸誘導体の一種なんです。
そして、その大部分は多糖類や脂質、アルコールなどその他の化合物と結合した形で存在しているようです。
植物の細胞壁を形成するポリフェノールは2つあるのですが、フェルラ酸はもう一つのポリフェノールであるリグニン (木質素 lignin) の前駆体(母体)の一つになるようです。
このように言われるとなんだか難しそうに見えますね。
でも、ポリフェノール自体は五大栄養素に次ぐ栄養素として注目されていることもあり、昨今の健康ブームで結構ご存知の方も多いのではないでしょうか?
カテキンだのアントシアニン、タンニン、ルチン、イソフラボンなどと言われると、たいてい健康食品のチラシで見たことがあることをすぐに思い出されるのではないでしょうか?
まぁ、要するに植物の二次代謝成分なんです。
カテキンはお茶やワイン、アントシアニンはブドウやブルーベリー、イソフラボンは大豆から・・・。
同じように、フェルラ酸は主にイネ科植物の細胞壁に含まれるということなんですね。
では、フェルラ酸は何故今まであまり有名じゃなかったのでしょうか?
それは、簡単なこと。
石油から合成することは出来ても、天然物から単体で抽出することが難しかったからです。
そんな中、和歌山県工業技術センターと築野食品工業が、米糠からサラダ油を抽出する際に出る廃油(米糠ピッチ)を有効利用しようという試みの中で、純粋なフェルラ酸単体としての抽出に成功したようですね。
この技術は、2009年度の飯島記念食品科学振興財団の技術賞に輝いています。
また、この和歌山のプロジェクトチームから下記の論文が発表されています。
米糠レベルであれば、一昔前には当たり前のように米ぬかで洗顔したり洗濯したりしていました。
天然の界面活性剤が含まれていることで、洗う機能に実に適していたんですね。
別の話になりますが、僕の両親とも実家は農家で、糠など有り余るほどありましたから、ぬか床作って漬物も漬けていましたし、タケノコをゆでる時にはぬかであく抜きしていました。
挙句の果ては、亡くなるまで、米のとぎ汁は草木や家庭菜園の肥料に使っていましたね。
ともかく、自然の恵みほどありがたいものはありませんね。
そんな米糠ですから、それ自体のエキスを素材にした化粧品も日本盛さんの「米ぬか美人」など数多く出ていますよね。
当然、フェルラ酸も多糖類やその他の化合物と結合した形、γ-オリザノールなどの形で含まれていることになるのでしょうね。
さて、フェルラ酸の効用に関して主なところを挙げておきますと、
- 抗酸化作用
- 光保護;長波紫外線吸収能
- 美白;メラニン生成抑制
- 大腸がんの発がん抑制作用
- 血糖値降下作用
- 血圧降下作用
- 脳機能改善作用;認知症改善
フェルラ酸のこれらの効果・効能に関しては、オリザ油化さんのページに詳しくまとめられています。
エビデンス(根拠)も記されていますので、こちらをご覧いただくとよく理解できるかと思います。
これらの結果は見たところ、経皮摂取による光保護の効果以外は、in vitro(人工的環境下)、 あるいは動物(ラット)実験での結果ですから、ヒトへの効果は「期待できる」という表現が妥当でしょうね。
ただ、化粧品として重要な光保護・抗酸化作用という面では、酸化防止剤としての使用が認められていることも含め、経皮摂取であれば非常に期待が出来るのではないかという印象は受けました。
独立行政法人 国立健康・栄養研究所のデータベースによれば、「ヒトでの有効性ついては調べた文献に十分なデータが見当たらない。」となっています。
但し、既存添加物(酸化防止剤)としての使用は認められており、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)とされています。
これは、ヒアルロン酸とて同じポジションにありますが、ヒアルロン酸の効果は一定、人でも認められ、「おそらく安全」というレベルにあるのに比せば、フェルラ酸は歴史が浅いこともあり、現状では「おそらく期待できる」と認識しておくことが妥当なラインと思います。
いずれにしても、厳密に検討すれば、どの成分も人での効果を絶対的に謳うことはなかなか厳しいということができます。
↑「同意する」でデータベースが閲覧できます。↑
ベルマン化粧品ではフェルラ酸などの有用成分をリポソーム化してこれを製品化しているのですが、有用成分がリポソームに包まれて細胞に到達する様は下記の別ページをご一読いただければ理解していただけることと思います。
面白いことに、このフェルラ酸は生体適合性に優れていることから、両親媒性の誘導体を合成し、これをミセルやリポソーム(ベシクル)の素材とする研究も和歌山大学のシステム工学で行われているようです。
フェルラ酸誘導体のリポソームの中に、他の有用成分であるヒナギク花エキス・ユキノシタエキスが閉じ込められた美容液も出来るかもしれませんね。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません