さらば 燃えない脂肪の憂鬱 資料1

肥満指標と基礎代謝

1)BMI値

肥満度を測る指標として最も適切なものは体脂肪率ですが、測定が難しいという事情があり、実際の指標としては、BMI値(Body Mass Index;ボディマス指標)が、体脂肪率と高い相関を示す(* KEYSらの下記論文以降、国際的なコンセンサスを得ている)ことにより、国際的にも最も一般的に使われてきました。

とは言っても、次に示す定義式においては、同じ体重、同じ身長の人でも体脂肪には両極が必ず存在し、両者には当然大きく差異が出ることは明確である以上、まさに統計的な相関に過ぎないことは理解しておかねばなりません。

従って、実際に体組成計で計測することが可能になった現在では、体脂肪率を計測することが最も正確な指標になるとお考えいただくのが合理的でしょうね。

ただ、簡易的な判断基準としては、BMI値も価値があるということで、現在でも統計などではBMI値が用いられることが多いようです。

体重をW[Kg] 、身長をL[cm]としたとき、BMI値は

BMI定義式

で定義されます。

BMI値による肥満度の判定基準は、各国によって相違しますが、日本では日本肥満学界の判定基準が使われています。
本講座でご提示した政府統計もこの基準を用いて「肥満者数」を計数しています。

■肥満度の判定基準(日本肥満学会2000)

BMI < 18.5 ・・・低体重(やせ) 18.5 ≦ BMI < 25 ・・・標準体重 25 ≦ BMI <30 ・・・肥満(1度) 30 ≦ BMI <35 ・・・肥満(2度) 35 ≦ BMI <40 ・・・肥満(3度) 40 ≦ BMI ・・・肥満(4度) BMI = 22 を標準(最適値)と規定しています。

[参考資料]

さて、あなたの肥満度はどうでしょうか?
付属のExcelシートに値を入れれば、あなたのBMI値は一発で出ますから確認下さいね。

2)体脂肪率

体脂肪率とは、身体の中に存在する脂肪(皮下や内臓に貯蔵されている中性脂肪だけではなく、血中の脂肪分・細胞基質の脂質も全て含まれます)が自分の体重に占める割合のことです。

ですから、

体脂肪率定義式

ということですね。

しかし、実際に重量を測れるものではありません。
そこで、生体インピーダンスを利用して測る計測器が登場します。

ここで、一つ笑い話を挿入しておきましょう。
Webを見ていると、こんな記述がありました。

体脂肪率よりも体脂肪量が大事なので体脂肪量を知りましょう。
体脂肪量の計算は、体脂肪率×体重で計算できます!

失礼ながら、あっけにとられて笑ってしまいました!

さて、安価な体組成計も普及してきましたし、技術の進歩で、現在では体脂肪率をかなり精度よく、しかも気軽に測定できるようになりました。
測定方法もどんどん進化を遂げ(二重X線吸収法)、確度も増しているようです。
と言っても、脂肪組織は若干の水分を含んでいますから純粋な脂肪としては測れません。

今後は、家でも体温を測るように手軽に体脂肪率を測る時代になっていくでしょう。
逆に言えば、それだけ肥満の問題は深刻化してきているということなのですが・・・。

とは言っても、生体インピーダンスを利用して間接的に計測するわけですから、常時変化している体内事情から考えても絶対値自体の確度は違って当たり前ですよね。
ですから、何回か計測して平均値を取ればそれが最も正しい値に近いと言えるでしょう。

ただ、家庭で計測するのに、それほど精密な精度は必要ないでしょう。
おおよそどのあたりのポジションなのかと、それがどう変化していくのかを見極め、健康管理に役立てることで十分ではないでしょうか?

かといって、いろんな簡易計算式も出ているようですが、あんなもので計算しても、時間は無駄だし、何の意味があるんだろうと僕は思います。

体脂肪率の判断基準は、公の基準としてはありませんが、体組成計メーカのタニタでは下記のようにまとめています。
医療機関でも、下記のタニタの判定基準を用いているようです。

体脂肪率の判断基準:タニタ

↑クリックで拡大↑

もし、あなたが体脂肪率を測られるのであれば、この表で自分のポジションを確認されてください。

体脂肪率が分かれば、

体脂肪率定義式の式から、体脂肪重量が分かります。

但し、
体脂肪率は貯蔵されている細胞だけではなく血中の脂質や細胞膜の脂質も含んでいます。

ですから、あなたにとって余剰な脂肪重量をおおよそ知りたいときは、標準との差から求める方法が合理的ですよね。

上記の表から、標準体脂肪率範囲の中央値を標準の体脂肪重量を求めるのもよいでしょうし、標準体脂肪率範囲の上限値をあなたの目標体脂肪重量とされてもよいでしょう。

あなたの体脂肪重量とこの差が、あなたにとって余分に蓄えられた脂肪重量のメドとして考えられるのがいいですね。

例えば一つの例で考察していきましょうか。

被験者条件
年齢・性別:33歳 女性
身長:162.2 [kg]
体重:68.5 [kg]
体脂肪率:32.0 [%]・・・体脂肪計で計測

計算値
BMI値:26.0
BMI=22理想で算定した理想体重:57.9 [Kg]

体脂肪量:21.92 [Kg]
体脂肪率の+標準下限値で算定した目標体脂肪量:19.18 [Kg]
余剰体脂肪量:2.74 [Kg]
余剰エネルギー:19180 [Kcal] ・・・脂肪1gあたりのカロリーは7[Kcal]として計算

考察
・体重68.5 [kg]を見て、「ウワァ、すごい肥満」と思われたのではないでしょうか?
・BMI=22理想で算定した理想体重から見ると、10.6[kg]を減量する必要があります。
・確かに、大いに肥満と考えられますね。
・が、BMIの肥満度判定基準からみると肥満(1度)の軽度肥満です。
・本当かいな?
・体脂肪率を測ると、体脂肪率判定基準からみると+標準のジャスト中央。
・体脂肪率から見ると、軽肥満にも達していませんね。
・まぁ、安全を見て”and”を採って軽肥満という結論が合理的ですね。
・この程度でも女性にすれば大騒ぎですが、真の肥満というのは結構敷居が高そう!
・余剰体脂肪量は2.74 [Kg]。これをエネルギー換算すると、19180 [Kcal]
・ウワァ~!すっごいカロリー。これでも、軽肥満。
・1万歩ウォーキングを毎日行うとして、約64日間続ければ解消する貯蔵量。
(1万歩の消費カロリーは平均的に300[Kcal]として計算)
・但し、当然余剰体脂肪だけが使うといったような曲芸は出来ませんから、日常的に
使われていなかった分を差っぴいて考えなければならないでしょう。
実質的には、もっと時間を要するということですね。

3)体内消費エネルギー

①総エネルギー消費(total energy expenditure;TEE)
人が1日あたり消費するエネルギー総量。

②基礎代謝(basal metabolic rate;BMR)
人が生命活動を維持するための生体活動に費やす1日あたりの最低限のエネルギー量。
個々人の体格に依存し、体表面積に比例すると言われています。
総エネルギー消費量TEEの約60%を占める。
測定は、
・約12時間以上の絶食=下記の食餌誘発性体熱産生DITは含まれない
・正常体温、安静仰臥位、筋の緊張を最小限にした状態
・快適な室温で(体温維持不要)、心身ともにストレスの少ない覚醒状態
という条件下で行われる。
安静時代謝とは、食餌誘発性体熱産生DITを含まない点で決定的に違います。

③安静時代謝(resting energy expenditure;REE)
人が安静にしている際に費やす1日あたりのエネルギー量。
測定は、
・絶食はない=下記の食餌誘発性体熱産生DITの一部が含まれる
・安静仰臥位
・環境・心身のストレスは管理しない(体温維持やストレスの影響が含まれる)
という条件下で行われる。
すなわち、基礎代謝量測定より管理条件が緩く、より日常生活の平静時に近い。
当然、基礎代謝量BMRより多く、約1.2倍と言われている。

④食餌誘発性体熱産生(diet induced thermogenesis;DIT)
食物を消化・吸収・運搬する際に発生する熱産生量。
総エネルギー消費量TEEの約10~15%を占める。
摂取エネルギーの約6~10%が熱として消費される。
その比率は栄養素により異なり、
・糖質:約5~10%
・脂質:約5%以下
・たんぱく質:約20~30%
と、たんぱく質による熱産生が圧倒的に効率が高い。

これを見て、「たんぱく質を多く摂ると脂肪として蓄積しない」という解釈の都市伝説が生まれているようだけれども、おそらく短絡的な発想なのではないだろうか?

理想的な栄養バランスと言われる【糖質:脂質:たんぱく質=6:2:2】との積を取ってみるだけで、糖質とたんぱく質の産生熱量自体にそう差異はないことが分かる。
ともかくも、脂質が食餌誘発性体熱産生に寄与しないことだけは確かなようだ。

⑤身体活動代謝(physical activity energy expenditure;*PEE
大きく分けて、非運動性生活活動(家事など)と運動性身体活動(スポーツや重労働家事)とに分類されます。
総エネルギー消費量TEEの約20~30%を占める。

総エネルギー消費TEE
= 身体活動代謝*PEE +食餌誘発性体熱産生DIT + 基礎代謝BMR
= 身体活動代謝*PEE + 安静時代謝REE

[*注記]

身体活動代謝に関しては、身体活動レベル(physical activity level;PAL)として、身体活動レベル定義式
なる式(従って、DITも含めた身体活動レベル)で語られることが一般的であるため、特に略号で表現されることはないようですが、僕自身、これだけに略号が無いというのも気持ちが悪いため、独断で”PEE”としているに過ぎません。

総エネルギー消費量

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さて、総エネルギー消費の構成比は、おおよそ右図のようなイメージとなります。

もし、ご自身の基礎代謝量を確認されてみたいと思われましたら、下記の国立健康・栄養研究所の式で計算されてみてください。


BMR = (0.1238+0.0481×体重(kg) + 0.0234 × 身長(cm)- 0.0138×年齢(歳)
-0.5473×性別 * ) × 1000/4.186
(性別 * 男性:1 女性:2)
付属のExcelシートに値を入れれば、あなたのBMRは一発で出ますから確認下さいね。

[参考文献]

[考察]

食餌誘発性体熱産生DITに関しては、「意外に、1回あたりの栄養摂取とそれを貯蔵する容量によって決まる?」そんな気がしました。
腹八分目というのは、おそらく余剰の糖質を貯蔵するかしないかのラインになるように出来ているのではないかという予測はします。

食餌誘発性体熱産生は、食事の総量が同じであれば、始動の回数が増える分の増加はあるのかもしれませんが、食事の回数には関係しないと考えるのが合理的だと思います。

本講座は、引き締まった美しい体を作るシェイプアップ(一般的に「ダイエット」と呼ばれているもの)に関する正しい理論と手法を、誰にでも分かりやすく紐解くことを目的としています。

ご存知の方は少ないかもしれないWとB(読まれていく内に正体を現します)にスポットを当て、世にある多くのダイエット手法とは代謝的に全く別の根拠によるアプローチをご紹介しますが、ダイエットの本道は【過剰にならない一定の糖質をジャストインタイムで摂取する】ということ以上でも以下でもないということをバラシておきましょう。

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■ご提供内容

  1. 【保存版】代謝とダイエット~さらば燃えない脂肪の憂鬱~ PDF180ページ
  2. 資料1:肥満指標と基礎代謝 PDF7ページ
  3. 資料2:必要エネルギー・摂取エネルギー PDF3ページ
  4. 美姿・美脚になれる!!バレリーナこれだけレシピ PDF76ページ
    後半32ページは1.の第4章と同じ
  5. スペシャル特典:刺繍・和風デザイン スタンプ(透過png画像、及び、LINEで使っても透過する透過gif画像:320×320)| 文字付:44点、文字無し:47点
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なるほど、便のお漏らしを気にせねばならず、片やお薬への依存性が発生しますから、よほど病的なメタボリックでない限りおすすめすることは出来ない肥満治療薬ですが、世の中のご立派なクリニックは平気で、それほどでもない肥満程度の患者にも使っているようです。

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