理工系へ進む君に捧げる方程式(3)シュレジンガー方程式

理工系に進もうとしていて、大学に入ってからどんな勉強をするのだろうかと思いを馳せているあなたに、自身のMathJax記述練習を兼ねて(PDFファイルや画像での提示だけじゃ切ない?ので)、少しずつ方程式の風景をお見せしていきたいと思います。

ただ、理工系と言っても裾野が広く、私たちの専門分野である機械・電気を中心として、物理学や量子力学、数学の興味深い方程式を付加できる程度ですので、進まれる学科によっては無縁のものがあることはご容赦ください。

今回の方程式は、2018年の締めに相応しく、あまりにお見事なシュレジンガーの(波動)方程式。

高校生の諸君の中には「シュレジンガーの猫」を知っておられ方も居られると思いますが、そのシュレジンガーです。

ここに書いた方程式は、最も一般的に表現される方程式です。

それでも難しそうに見えるのは、偏微分を含め微分にまつわる見知らぬ数学記号が入っているからであって、基本的にはニュートン力学の知識と光量子化説に対するアインシュタインの有名なエネルギー方程式\(E = h \nu\)さえ知っていれば導き出せる式です。

僕が大学に入って教養課程で勉強した力学がハミルトン力学でした。
しかし、その当時は、その意義が分からないまま「つまんねぇ」と思っていました。

ニュートン力学と何が違って、どういう意義があるのかを最初に言ってもらわないと、式の羅列を追っているだけではなかなか意義を見つけることはできませんよね。

シュレジンガー方程式は、見るからに、大学に入った後、微分を勉強するのが楽しみになるような、カッコいい式ではありませんか?

文系のあなたも含めて、リベラルアーツの心意気で、興味のある分野を自主的に勉強して頂ければ嬉しいです!

ネットは、一般的にはゴミの山ですが、こういった学問分野では非常に有益な資料が少なからず見られるようになりました。

まぁ、誰でもが書ける訳ではありませんし、いい加減なことを書ける分野でもありませんから、自然にそうなるのは頷けます。

総じて、民間から学者さんまでを含むたいそう優秀な方がまとめておられるようで、ひとえに執筆者には敬意を表する次第です。

量子力学の基本方程式

シュレジンガー(Schrodinger)方程式

粒子系における一般形

\begin{align}
i\hbar \frac{\partial \varPsi (x, t)}{\partial t} = H \varPsi(x, t)
\end{align}

\begin{align}
i\hbar \frac{\partial \varPsi (x, t)}{\partial t} = – \frac{\hbar^2}{2m} \Delta \varPsi (x, t) + V(x, t) \varPsi(x, t)
\end{align}


シュレジンガー方程式

そもそも、物理は数学で自然の摂理を説明するものですから、全ての領域で多種多様の数学が必要とされますが、流体力学や熱力学・電磁気学など理工系の要となる物理を理解するにあたっては、ベクトル解析の理解が必須となります。

脅かすつもりは全くありませんが、その意味で、理工系は落っこちする学生も多く、医学部から転学部して来た人をして「医学部の方がよほど簡単だった」と後悔せしめることもあることは申し上げておきましょう。

【方程式→数学的な意味理解→イメージでの理解→日本語での再構成→物理的意味との関連付け】
といったプロセスを往ったり来たりしないと、なかなか真に分かるものではありません。

それでは、シュレジンガー方程式や量子力学をイメージとして理解に導いてくれる優れたサイトをご紹介しておきますね。

方程式の基本知識

\(\hbar(エッチ・バー)=換算プランク定数\)

\begin{align}
\hbar = \frac{ h }{2\pi}
\end{align}

プランク定数\(h\)とは、光子エネルギー\(\epsilon\)と振動数\(\nu\)との関係式

\begin{align}
\epsilon = h \nu
\end{align}

における比例定数

よって、\(h \nu = \hbar \omega\)の関係が成り立つ。(\(\omega\)は角速度)

\(H\)=Hamiltonian(ハミルトニアン作用素)

\begin{align}
H = \frac{p^2}{ 2m } + V(x,t) = – \frac{\hbar^2}{2m} \frac{\partial^2}{\partial x^2} + V(x, t)
\end{align}

\(p\):運動量
\(V\):ポテンシャル・エネルギー

\(\varPsi(x, t)\)=波動関数

ベクトル解析記号の基本知識

\(\nabla\)演算子=Nabla(ナブラ)演算子

\begin{align}
\nabla = \left(\frac{\partial}{\partial x}, \frac{\partial}{\partial y}, \frac{\partial}{\partial z}\right)
\end{align}

\begin{align}
\nabla \varphi = \left(\frac{\partial \varphi}{\partial x},\frac{\partial \varphi}{\partial y},\frac{\partial \varphi}{\partial z}\right)
\end{align}

\(\Delta\)演算子=Laplace(ラプラス)演算子=Laplacian(ラプラシアン)

\begin{align}
\Delta = \nabla^2 = \nabla \cdot \nabla = \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2}
\end{align}

\begin{align}
\Delta \varphi = \nabla^2 \varphi = \frac{\partial^2 \varphi}{\partial x^2} + \frac{\partial^2 \varphi}{\partial y^2} + \frac{\partial^2 \varphi}{\partial z^2}
\end{align}

ラプラシアン(Laplacian)とは、要するに∇(ナブラ)演算子どうしの内積と考えればいいわけですね。