本記事は、【保護者の教科書】をより根源的に補完する補論の草稿tipsとするものです。


保護者さんが子どもさんの勉強が出来ないことに悩み、何とか解決したいと思うとき、単に学習塾へ通わせればどうにかなると思っておられることもないでしょうが、他に何をすればいいのかの手立てが思いつかないというのが正直なところではないでしょうか?

もし、真の解決を望むのであれば、戻るべき原点は、四書の一つである『大学』にある「心焉に在らざれば、視れども見えず、聴けども聞えず、食へども其の味を知らず」というところでありましょう。

要するに、本気でなければ何をしたって無駄だよという教えに他なりません。
勉強に限らず、『心がそこに在る』ことが何かを修めようとするとするときの基本であることは、誰に言われるまでもなく自明の理と誰もが心得ていることでしょう。

ですから、これだけしか講釈を垂れないのであれば、「単なる精神主義」と批判されます。
そうなると逆に、慣用句化してしまった「単なる精神主義」という響きから、「精神主義」自体を全く無視しがちになってしまうこともに通じてしまうことも想定されます。

その結果、勉強は精神でするものではないんだという極端にまで発展してしまうと、目指すところからは真逆の方向に歩き出してしまう可能性さえ生じてきます。

勉強にしろ何かを修めようとする場合には、『心がそこに在ること』を放棄してしまっては成立しないということは普遍の真理として心に留めなければなりません。

『心がそこに在る』とは、よくご相談を受ける際に耳にする「上の空」や「やる気がない」という言葉、あるいは「本気度が全くない」の対義語と言えましょう。
即ち、勉強においても、先ず本気になることが大前提になるということですね。

ですから、子どもさんの勉強が出来ないことへの対処を考える場合に、『心がそこにない』のだとすれば、原因に思いを馳せずに世間一般の対処療法を施したとしても、それが功を奏す可能性は非常におぼつかないものに留まることでしょう。

では、「本気」ということはどういうことか?という疑問にぶつかります。
これは、はっきり「意志」ですね。

「本気」で分かろうとする「意志」、「本気」で勉強ができるようになろうとする「意志」。

「意志」である限り、主体的であり積極的な心の持ち方ということになります。
その「意志」がないのであれば、まずはその「意志」を芽生えさせる源泉をクリアーしておかないと、実際的には何も実りがある結果へと続くものではありません。

それこそが、学ぶことの根源であり、教えることの根源の課題です。

何をもってすれば、「本気」で分かろうとする「意志」、「本気」で勉強ができるようになろうとする「意志」を呼び込むことができるのかをある程度明瞭にしておかなければ、正しくアプローチをしているのかどうかの判断をすることもできません。

すなわち、
・「本気」で分かろうとする「動機」
・「本気」で勉強ができるようになろうとする「動機」
は何なのか?
という問題です。

ここは、普通に考えてみれば、大きくは
・自ら内発して湧き上がって来る興味によって(内発的刺激)
・時代や社会が要請するニーズによって(外発的刺激)
という二つに分類されるでしょう。

この括り方にすると、それぞれ様々な態様が現れるので、むしろ
・アプリオリな「個」から自然に内発するもの
・後者はアポステリオリな「公」の作用によって内在化を経て表出するもの
という分類をした方が分かりやすいかもしれません。

前者も最終的には「公」の中でその価値をフィルタリングされざるを得ないという洗礼を浴びることになり、とどのつまりは、社会共同体の中の一個の生としてのアイデンティティーの中にその動因を見つけなければならないという1点に集約されていきます。

すなわち、現実社会の中において社会の要請している要求を満足しながら自らの心にあがなわない何かを動機として獲得できるかどうかというところに落ち着きます。

社会の要請している要求における質量の強弱や正当性という尺度は別問題として度外視するとして、この動機の正体は一言で言えば『希望』という言葉で表せるのではないでしょうか?

私が盛んに引用するフランスの詩人ルイ・アラゴン(Louis Aragon)の『ストラスブルグ大学の歌』の一節『教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸にきざむこと』(大島博光氏訳)に含まれる『希望』であり、実存主義の明るい側面と教育を結び付けたドイツの教育哲学者ボルノウ(Otto Friedrich Bollnow)の『希望』なのです。

しかるに、現実として、親が悩む最表層の現象「成績が振るわない、あるいは、成績が悪い」の背後に横たわる状況にはどういう状況があるだろうか?と考えたとき、「勉強しなさい」などというお説教が如何に空疎なものかが見えて来るのではないでしょうか?

1. 学校や塾での授業中や家庭での学習中、上の空あるいは集中できない
2. スマホetcでのSNSやゲームに大半の時間を費やしている
3. 人間関係の不全、特に友人から孤立している(いじめ含む)
4. 教師や親に対して反抗的態度をとる
5. よくない友達と付き合っている
6. 教師や親に対して暴力的態度をとる

もし「成績が悪い」ことを改善しようとする場合、1の状況の原因が勉強の仕方への無知である場合を除いては、これらのどの状況にある子どもに勉強方法論だけを説いても本源的でないことは明らかですね。

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京都大学工学部OB2名と大阪大学大学院工学科OBの3名、しかも全員ハードエンジニア出身(教師転身2名)で執筆していますから、商売人や学生上がりのような根拠のない、いい加減な甘言は書いていません。

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