ここまでお読みいただいて、デリケートゾーンに対するケアには乳酸菌が大きな役割を果たしてくれることがお分かりいただけたのではないでしょうか?

プロバイオティクス(Probiotics)の代表選手としての乳酸菌は、整腸など消化器系の病気予防だけではなく、膣の健康にまで有効だったのですね。

さて、何気なく見逃してしまっているかもしれない大きな落とし穴のお話があります。

それは、「ラクトフローラ」と「インクリア」の相違にも関係することなのですが、「乳酸」と「乳酸菌」を何気なく同じものとして扱ってしまうという落とし穴です。

製品で区別してしまえば、「ラクトフローラ」は2種類の乳酸菌の混合粉末商品ですが、「インクリア」は乳酸そのものを美容成分とともに配合した「膣洗浄器」という謳いの商品です。

さて、その差はあるのでしょうか?

デリケートゾーンの悩み

乳酸は乳酸にして乳酸菌に非ず

実は、乳酸を膣内に入れても膣炎などに対する効果は無い(薄い)という結果が報告されています。

結論 – 乳酸坐剤は有効ではなく、メトロニダゾールカプセルは細菌性膣炎の徴候および症状に対して有効である。

これは、(2)で詳しくお話したように、膣内で常在菌としての乳酸菌がグルコースを分解することで常に乳酸を産生し、この乳酸が膣内を酸性状態に保ち、細菌の侵入や繁殖を防いでいるからでしたね。

では、外部から乳酸を取り込んだとすればどうなのでしょうか?

乳酸もいずれ分解されてしまいますから、その効果は一時的なものであるということが予測されますね。

即ち、乳酸で居られる時間が非常に短いということが理由ではないかと考えられます。

免疫寛容によって、膣に常在する乳酸菌は、決して消失しないように仕組まれていますから、常に乳酸を産生してくれるのに比べて、結果としての乳酸を投与するだけでは持続性がないということですね。

一方、乳酸菌を投与する場合、乳酸菌に寿命がある間は、乳酸の産生に寄与してくれるわけですから、数日間は有効であるということによって、有効性が証明されて来たと考えられます。

大枠として、

乳酸菌の摂取は有効だが、乳酸の摂取はあまり有効性がない

と考えておくのがよいかと思います。

にもかかわらず、「インクリア」の評価は非常に高いものがあります。インクリアの評価

アットコスメさんで星が5つ以上つくものは、貴女にとって非常に良い商品である可能性が高いということです。

少し、アットコスメさんの口コミを流用させて頂くと、

いつもは月経の終盤臭いが気になっていたのですが、その月は初日から臭いが気になって困っていました(連日の猛暑のせいなのかなぁ?とも思っていました)

そんな時に限ってストックしていたセペ(使い捨てビデ)も無くなっていて、ドラッグストアに行った所、こちらを見つけました

「産婦人科医と共同開発」というのが決め手で購入しました

月経も終盤だったので、その足でお店のお手洗いで使用しました

タンポンと同様の使用方法でスムーズに使えました>

家に帰ると臭いがほとんどしなくなっていて驚きました

乳酸成分だけでは効果が薄いはずなのに、何故、このように高い評価があるのでしょうか?

おそらく、(3)でも少し言及しましたように、病気としての膣炎には至らないけれどもおりものの匂いや量が気になる方が多く選んでおられるということがあるからではないでしょうか?

口コミを全て確認しましたところ、なるほど特に実際に膣炎として長く悩んでおられる方は少なく、細菌性膣炎に二度となりたくないための予防やカンジダの方が4名居られたのみでした。

医療機関を受診されていないだけで実際に膣炎の方もいらっしゃるかもしれませんが…。

その他のほとんどの方が、おりものの匂い・量・色や痒みに悩まれたこと(特に生理の前後)及び膣洗浄の他の選択肢としてお試しがきっかけとされているようです。

その中で、本ページの課題そのものをズバリとコメントされている方が居られましたのでご紹介しておきましょう。

体質的に排卵日後辺りから生理日までホルモンのバランスの関係なのか、必ず毎月カンジダが出ます。

その度に毎月、病院へ行って薬を入れるのは良くないと思い、藁にもすがる思いで、検索してインクリアを試して見ました。

匂いが気になったり、排卵日後辺りに3日に1回(気になるときは毎日)臭いは劇的に減ります。

おりものも、比較的正常に近い物で保てます。

ただ、やっぱり症状が出ちゃうと駄目なんですよね・・・。

乳酸菌入りではなく、乳酸入りなので、乳酸が効いてる間だけかなと思います。

乳酸菌なら、一時的ではなく、もうちょっと持続性が有ったかも?

カンジダにはお奨めしませんが、細菌性であれば、お奨めします。

乳酸と乳酸菌の違いを明確に理解しておられたわけですが、残念ながら「細菌性であれば、お奨めします。」という点に根拠はありませんし、むしろ間違いです。

「膣炎に二度となりたくないので・・・」という動機も、正しくない認識なのです。

乳酸菌が作る過酸化水素に秘密あり!

ラクトフローラの医療専門家向けページで記載されている事なのですが、膣炎の症状に最も顕著な現象(即ち、診断の基準になる)は過酸化水素(H2O2)を産生する乳酸菌の激減なんですね。

乳酸菌によるH2O2の生成は、腟炎予防には極めて重要な意味があるということなんです。

ですから、乳酸を取り込むだけでは、一時的に酸性の環境を作り出すことはできますが、H2O2を産生させることはできません。

この点において、乳酸そのものの投与は膣炎には根本的な対策とはならないことが、上記のように現実のコメントと極めて高い整合性を示すことからも見てとれます。

ですから、腟炎と診断された場合には、H2O2産生する乳酸菌の取り込みの方が、完全治療させる臨床的効果として有望であると言えるわけです。

従いまして、生理前後にだけ気になるとかの原因が非病気的な生理的要因だけに限られるような場合には、乳酸自体の投与で酸性状態に一定時間保つことにより、問題が解消されることは可能だということになるのではないかと考えられます。

一方、ラクトフローラは2種類のH2O2産生乳酸菌のみを含有しており、膣炎にまで至られている方や予防を望まれる方には根拠の十分な製品と言えます。

ただ、インクリアのように美容成分は何も含まれておりません。

インクリアの美容成分の効用は、口コミでは「化粧のノリがよくなったりニキビが小さくなるなど肌の変化」を感じたという声も挙がっていましたことから考えますと、何らかの効果があるのかもしれませんが、この点に関する根拠は、まだ見つけられておりません。

ただ、下の表に示しましたが、インクリアの美容成分としては、「安全性の高い成分を使用」と謳われている言葉と矛盾することなく、特に問題はないと判断はされます。

ラクトフローラとインクリアの成分比較

ラクトフローラ
(膣剤・内服)
インクリア
成分
  • Lactobacillus gasseri
  • Lactobacillus rhamnosus
  • ゼラチン(膣剤カプセル基材)
  • 精製水
  • グリセリン
  • ヒドロキシエチルセルロース
  • 乳酸
  • クエン酸ナトリウム
  • パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)
  • エデト酸ニナトリウム
  • ヒアルロン酸ナトリウム

以上により、生理的な原因でおりものおの臭いや量が気になる、あるいは痒みが気になる、病院を受診するほどではないと思われた場合にはインクリアで試されてもよいかと思われますが、それでも、きちんと医療機関を受診されておかれるようにしてくださいね。

デリケートゾーン講座はさらに続きます。

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