幼児的な国と評価される所以

下のグラフは、オックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所が公表した2016年レポートで、ハード・ニュースとソフト・ニュースの何れにより興味があるかを調査した結果のグラフです。

ここで、

  • ハード・ニュースとは通常、政治、国際問題、ビジネスニュースなど、時宜にかなった重要かつ必然的なトピック
  • ソフト・ニュースとは、エンターテインメント・著名人ネタ(日本では主に芸能人ネタになるでしょう)・ライフスタイル(スポーツ・文化)のトピック

なる定義となります。

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このグラフを見てどう思われたでしょうか?

調査対象者は26か国のオンライン・ニュース・ユーザー5万人で、各国から少なくとも2000人がアンケート回答者として参加。日本人回答者は2011人。

正確なテスト条件などは私もまだ見ておりませんので正式な分析は差し控えますが、同じ土俵での国際比較という点と実感という点だけに依拠して見てみると、なるほどと頷けてしまうのは私だけでしょうか?

ハード・ニュースの方に「より興味がある」と答えたのは、日本が調査26か国中最下位の49%。
韓国も似たり寄ったりの傾向を示しており、どっこいどっこいというところですね。
この点で、韓国と日本は非常に似たもの同士と言えるでしょうね。

驚くべきは、ソフト・ニュースに「より興味がある」と答えた割合の高さが全ての年齢層で他国に比し突出していることですね。

確かに、18歳~24歳の層が他の年齢層よりもひときわ突出していることが特徴的ではありますが、全ての年齢層で突出しているのが何と言っても最大の特徴だと言えるでしょう。

日本が全体として幼児的な国であると見られる所以がこのグラフに如実に現れています。

ある程度予想されるのは、子どもたちは、やはり親の幼児度にある程度引きずられることに加え、ここ数年に極値に達しつつあるスマホの誘惑がさらに相乗効果を与えているであろうことです。

下記の記事とも併せてご一読いただければ、さらに参考にしていただけるかと考えます。

親の幼児度が子どもに引き継がれる

さて、【勉強しない子どもへの親の関わり】でご紹介した統計データから、

保護者の普段の行動で、学力差が特に顕著に現れるマイナス行動をピックアップしてみましょう。

  1. スポーツ新聞や女性週刊誌を読む
  2. テレビのワイドショーやバラエティ番組を見る
  3. カラオケに行く
  4. パチンコ・競馬・競輪に行く
  5. 携帯電話でゲームをする

これらのことを自ら一層戒めて子どもと向き合ってあげないことには、お子さんの器である日本という国全体が、お子さんに安寧で安心できる生活をとても保証できない国に成り下がっていくかもしれません。

エンタメや芸能人ネタやスポーツの方にこれほどまで興味が向いてしまっているということは、学生にとっては勉強への意欲の喪失となって現れてくることは言うまでもありません。

巷の知識人の間では、これほど勉強しなくなった国が先進国でいられるはずがないだろうという悲しい予測論議が多く見聞きされる時代になって来ました。

文科省:高校生の現状(2014年公表)

勉強しなくなったのは、偏差値50~55の最も人数の多いボリュームゾーンの層であり、かつては偏差値55以上の層と変わらぬ勉強をしていた多くの高校2年生たちが2006年ではその半分の1時間しか勉強していないという現実があります。

そういった意味で、今後、一般社会において企業や各種組織を支えていくべきBクラスの人材(社長も管理職も従業員も含め企業・組織を支える実質的な戦力部隊)が危ぶまれます。

少子化でも安泰なのは、極めて少数居れば十分なAクラスの人材だけかもしれません。
彼らは、世の中が堕落しようが共産主義であろうが、そんなことには我関せず、一途に研鑽し、その成果を確実に出していく人々です。

スマホが普及したのはさらにこの後ですから、この後のデータは今や見るのも恐ろしい無残なものではないかと、最寄りの公立高校の姿を見るにつけて思ってしまいます。

私の妻は短大の教育学科卒ですが、それでも高校時代に最低2時間は勉強していた(70年代後半)し、物理や数学も分からないなりに一生懸命勉強したものだと最近の勉強時間のグラフの数値を見て目を点にしていました。

「物理は分かる分からないは別にして、男女問わず物理を勉強しなかった人なんて私たちの時代はいなかったでしょ。」「物理だけは勉強しておかなくちゃ生活する上でも不便でしょ。今、結婚するとしても、物理を勉強しなかった男や「てこの原理」も思いつかないような男なんて結婚相手としても問題外やわ。」とすら仰います。

本記事の後続記事も併せてご一読いただければ、さらに参考にしていただけるかと考えます。

日本人はもうノーベル賞を獲れない?

ダイヤモンド社をしてこんなことを言わしめるようになってしまったとは!

私は決してそうは思わず、一生懸命努力・精進する優秀な層だけは未だに健在だと見ています。

それに、ノーベル賞を獲れる獲れないは、ある意味大した問題ではありませんしね。

ノーベル賞とは縁のない、縁の下の技術やサービスこそが、圧倒的多数で人類社会を支えているのですから。

君のお父さんやお母さんがそれに貢献しているかもしれませんよ!

しかし、その一方で、普通の一般社会を担う層が完全に空洞化しつつあることは確かだと感じます。

懇意にしていただいていた銀行の女性行員さん、製鉄会社の総合職の女性、挙句の果ては私の息子までが、あまりにも普通のことができないと嘆いている始末で、それこそが致命的な問題です。(=中間層の多くがマイナス側に吸収された形で空洞化した二極化)

いくらノーベル賞を獲れる人が続いても、普通の一般社会が劣化しては、世界として現状のパラダイムが続く限り、日本の社会としては相当ヤバいことになる事が予測されます。

それは、とりもなおさず自分自身の、あるいはお子さんの今後の普通の生活に関わる重大な事態です。

「ITや商才・サブカルチャーで勝負!」の傾向が強まっていますが、ともに世界から見れば赤子。

まぁ、優れているのかもしれないアニメにしたって、所詮バブルです。

「エンジニア」で検索すればITエンジニアばかりが出てきますが、正直、こういう現象こそが日本の苦悩を象徴しているのであって、自然科学に無縁の実用ITを駆使するだけではワードやエクセルを駆使するのと変わりませんから、安易にエンジニアなどと呼んでほしくありません。

小さな国ですから、これらは国民間の内需で騙し合うところにしか活路を見出せないのがオチでしょう。

やはり、良識ある社会への有益性のための頭脳で世界に貢献するように成長していただきたいと願います。